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規格外の男
官能リレー小説 - スポーツ

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規格外の男 8

交渉終わりのインタビューで保田GMが言った一言・・・
『我々は交渉権喪失まで粘り強く説得していく』と言う言葉がそれを示していた。

兎も角、最初の関門はクリアした。
後は次に向けてだった。


交渉が終わり、やれやれと言った感じで越山が言う。

「前途多難だなぁ・・・こりゃ記者会見も大変だわ」
「監督も校長先生にもご迷惑をおかけします」
「なに、私達はいいんだ・・・それよりあれだね、水瀬くんをマスコミからどうにかしてやらないとねぇ」

大人二人が考え込む。
そして舛川が何かを思い付いた。

「そうだ!、水瀬くんのお父さん、資金に余裕があるならわが校のアメリカの提携校に留学と言う形で彼を向こうにやってしまいましょう!」
「いい考えです!・・・まあ年明けからになると思いますが、我が家としては有難い話です」
「ええ、これなら水瀬くんに卒業証書も出せますし、彼の夢も応援できるかと」

凄い思い切りだ。
勿論、行徳高校と舛川は批判されるだろうが、そんなものは舛川からすればどうと言う事はない。

舛川の手回しで話はトントン拍子で進み、慶太はその間にパスポートなどを取得。
留学先はスコットたちテイラー一家の住む場所にもほど近いので慶太はテイラー家にホームステイという形に。

そしてもう一人。

「校長、今回の件、本当にありがとうございました」
「いやいや、生徒の幸せが一番だからね。将来有望な若者の夢をかなえてやるのが学校の務めさ」
「本当に…それに私も…」

舛川に礼を言うアシュレイの言葉が詰まる。

「水瀬くんの事を一番わかってるのはアシュレイくん、君だからね。精いっぱいサポートしてやってくれ」
「はい…」

こうしてアシュレイの身の振り方も決まった所で、慶太の渡米の準備は整う。
後は時期を見て就労ビザを習得しマイナーリーグとの契約を目指す。
上位リーグで4月からになると空きはないが、下位リーグだと空きはあるだろう。
アメリカの野球のシステムとして8軍まである構成なので潜り込めばどうにかなる。
そして下位リーグ程シーズン中の入れ換えが激しく、良ければより上位のリーグに上がっていける。
慶太の現実的な目標からすれば、来シーズン終わりに2Aとの契約ができれば成功だろう。


そして、年明け・・・
ファルコンズとの交渉を断り、年末まで日本に居た慶太はいよいよ渡米した。
目的地は行徳高校の提携校近郊のニューオリンズ。
南部のジャズの聖地と呼ばれる場所であり、アシュレイの故郷だ。
住居は先に帰ったアシュレイが準備済み。
そして、彼女はもう1つの用意をしていた。

アシュレイの出迎えで空港から住居に向かった慶太。
借りた家は平屋の一戸建てだが、結構広い。
その広さで安い事に慶太はびっくりしたぐらいだ。

これがアメリカと日本の違いなのだろう。

そして、住居には一人の若い黒人女性が待っていた。
かなり長身でスタイルは抜群のアフリカ系美女で、珍しいストレートヘア。
その美女が、微笑むと白い歯が美しい。

「ケータよろしく!、私がジュディよ」
「ジュディは私の親友で大学院で博士号も習得してるわ」

この黒人女性はジュディ・オーガストと言うアシュレイの親友である。
彼女の専門は運動学であり、現在はスポーツトレーニングの大学研究室勤務だ。

「アシュレイから送って貰ったデータを見たけど、ケータは素晴らしいわ」
「良かった・・・なら、あの話お願いできる?」

何やら二人で盛り上がるのを慶太は戸惑いながら聞いていた。

「いいわ、彼のトレーニングを研究として扱うと言う名目で受けるわ」

つまり、友達の繋がりでアシュレイは慶太の専属トレーナーを確保していたのだ。
これは4月まで自主トレしかできない慶太にとっては願ったり叶ったりな上、博士号まで持つ専門的なトレーナーに見て貰えるなんて普通にありえない事だ。

「じゃあ早速やりましょうか、ケータ」
「はい!」
「言っとくけどジュディのトレーニングは本格的だからね」
アシュレイはそう言うが、慶太の体力が常人からはるかに優れていることは彼女が一番知っている。


慶太はジュディの用意したプログラムを淡々とこなしていく。
「凄いわね。本当に18歳って聞きたくなるレベルだわ」

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