壊したいくらい愛したい 2
最初は何となくで、ぎこちなかった関係が、次第に良化していくのに私たちはお互いに気づいていくようになった。
帰宅する電車が一緒だと知り、一緒に帰るようになった。
白奈は両親が仕事で忙しいらしく常に昼食は購買で何かを買っていた。
育ちがいいのは彼女の所持品で何となく気づいていた。
梅雨明けてしばらくして、昼休みは屋上でお昼を2人で取るようになった。
「気持ちいいね」
「そうだね」
「黒羽根さんも、よく笑うようになった」
「鳴滝さんの前だけよ。一緒にいて楽しいと思うのはあなただけ」
黒羽根白奈…彼女は笑うとものすごく可愛い。
自分だって女なのに、なんだか惚れてしまいそうになる。そんな魅力がある。
ある日のお弁当。
私の弁当箱にある鶏の唐揚げを、白奈がジーっと見つめている。
この唐揚げは私の大好物。母の手作りだ。
「欲しいんですな、白奈さん」
「べっ、別にっ」
ぷい、とそっぽを向く白奈。小柄な身体といい、小動物のようだ。
「ほらー、シロー、大好物の唐揚げだぞー」
「わ、私は犬じゃないっ!?」
「じゃあいらないね」
「えっ」
そこで真顔になって驚く白奈さん。やっぱり欲しいんじゃん。素直じゃないところが可愛い。
「はい、あーんして」
「う、うー………あーん……」
唐揚げを差し出すと数秒悩んで見上げて、そして食いつく。
「うわ、美味しい!この唐揚げ、すごく美味しい」
「でしょう」
いい笑顔だ。唐揚げは美味しい。それを食べる白奈は可愛い。
毎日一緒にお昼を食べるようになって、私と白奈の距離は縮まり、どんどん惹かれていくようになる。
梅雨が明け学校では水泳の授業が始まる。
つまり白奈の水着姿が見られるわけだ。女のに心高ぶる思いになるのは…きっと、完全に惹かれているということだろう。
男子も当然同じ時間に授業を行う。
プールの対岸に座る男子の視線は白奈、もしくは私に向くことになる。
「鳴滝さんが羨ましいわ」
そう周囲の女子に言われる。
白奈がやってくる前までは私がナンバー1美少女だなんて噂されていたらしい。
当然白奈に勝てるだなんて私は思わない。
私が勝っているのは身長と胸くらいだし。
そんな私も、白奈の存在感に視線を釘付けにされる。
整った顔立ちに程よく膨らんだ胸に、肉付きの良いお尻に太腿。
女なのに心ときめくのはなぜなのか。
その年、初めての水泳の授業。
6時間目で一番最後の授業だった。
白奈の泳ぐフォームは綺麗で、まるで人魚のようだった。
そんな姿にも心を動かされた私は、思いを止められなかった。