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暗闇には…
官能リレー小説 - 同性愛♂

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暗闇には… 1

本来堅く閉ざされているはずのその門は、まるで挑戦者を誘うようにその扉を開放し、その奥から暗鬱な空気を吐き出している。
その奥に居るのは一人の老人。
長い白髪とひげを持つ、老いてなお筋骨隆々とした肉体を持つ老人だ。
だがその瞳には生気はなく、ただ虚空を見つめるのみ。
「…」
その老人の名はマルセル。
かつて『剣聖』と呼ばれた男である。
マルセルはこの深い闇の中に封印されていた。その理由は簡単だ。
この男があまりに強すぎたからである。
マルセルはかつて、世界最強の一角であった。
神速の抜刀術、光の太刀と呼ばれる斬撃は、あらゆるものを両断したと言われている。
彼が本気で戦えば、大陸が滅びかねないほどに強かったのだ。
しかし彼はあまりにも強すぎて、それゆえに孤独だった。
なのでマルセルはここの人柱として選ばれたのだ。
あまりにも強い力を持つ者は、その存在自体が災厄となる。そんな者を人柱にすれば、少なくとも千年は平和が続くだろうと考えた者達によって。
そしてその思惑通り、この国は平穏が続いた。
だがそれは同時に人々の心に奇妙な慢心をもたらした。
いつの間にか、人々はこの国こそが最強であり、他の国の者など取るに足らない存在だと考えるようになった。
それ故に他国へ侵略を行い、領土を広げようと画策する愚か者も現れた。
国は慢心と繁栄に包まれ、人々は己の強さに酔いしれていた。しかし、異なる国から現れた者たちが、その慢心を挑発するかのように国境線に立ちはだかった。
彼等は隣国のフリダ国の兵士達である。彼等の挑発はますます激しさを増していく。
「フリダ国こそが最強だ!我々がこの地を制すことは必然だ!」
「ならばその最強とやらを見せてもらおうか!」
言い返されたフリダ国の兵士達が国境線に押し寄せる。
「愚かな!我が国は最強だ!貴様らなど物の数ではないわ!」
ついに国境線上で二国の兵士による衝突が起こる。


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