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夜想曲
官能リレー小説 - その他

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夜想曲 1

視線を山の方に転ずれば、暗い正面の山の中腹辺りにちらちらと炎の色が揺れているのが見える。やがて、明かりの数は次第に増え、幾つかの集団が寄り集まってこちらの方を目指して進んでいるのが見てとれた。
かなりの速度で近付いてくる松明の集団は、恐らくこちらの姿に気付いている。

その集団は松明をかかげ、真っ黒に日焼けした体を時折仰け反らせながら、斜面を一気に駆け下りてくる。
先頭を駆ける男が、何か叫びつつ右手を高く上げる。
松明の明かりに照らし出されたのは、男の顔だ。年齢は二十歳ほどか。髭がまばらに生えたその精悍な顔は、まるで野生の狼を思わせる。
「あれはミールタ村が派遣してくれた若い衆だ」
と、灰色の髭を風になびかせながらマコウアンが低い声で言った。
「あの若い衆は、この山を知り尽くしている。それに、腕も立つ」
力強い声で付け加えて、マコウアンは集団の先頭に目を凝らす。その目に宿る鋭い光は、歴戦の勇士だけが持ちうるものだ。
マコウアンの言うとおり、若い男たちの動きは洗練されて無駄がない。
若い男たちの動きは、山で生きる獣の敏捷さを感じさせた。彼らは斜面を駆け下りる勢いを足の運びに乗せ、ほとんど足音もたてずに近付いてくる。


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