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三人のお姉さん
官能リレー小説 - その他

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三人のお姉さん 2

それからみんなで早めの夕食を食べたり花火の準備をしている時も菊池さんは全く話さなかった。
だけど仕事熱心だと思えた。僕にはわからないけどきっといろんな風景を見て感動してるんだろうと思った。
花火大会が始まる少し前、僕らは近くの河原に向かった。途中屋台もあり既に賑わっていた。
「結構混んできたね。逸れないようにしないと。迷子になる人もいるかも」
夏美さんの言葉で僕はある事を思い出していた。それは小さい頃に夏祭りに来たとき、母とはぐれてしまったのだ。
不安になって泣いていた時に見知らぬ男の人が現れて僕の手を引っ張ってくれて家まで連れ帰ってくれたのだ。
どういうわけかその男がどんな顔をしていたのか思い出せない。首から上が黒く塗り潰されたかのように何も見えないのである。
ただ覚えているのはプロレスラーの様に筋肉質な大きな手で優しく握られ安心感を覚えたことだけだ。
その時の男の人がもし今この町にいるなら会えるだろうか。そう思うと心がざわついた。
そんな事を考えているといつの間にか目的地に到着した。
既にかなりの数の見物客がいた。
僕達は土手の上を歩いて場所を確保しに行った。
しかしそこはもうすでにいっぱいだったので、僕らは草むらの方に行くことにした。
ちょうど座れそうな所があり、そこにシートを広げ荷物を置く。
ふと見上げると辺りが暗くなっていた。空に光が輝き始め次々と打ち上げられていた。ドンという音とともに光の花が咲く度に周りから歓声が上がる。
僕はその景色に見とれていた。
あまり有名ではない花火大会なのだが、それでも毎年それなりに観客が集まってくるらしい。確かに地方の祭りにしては盛大な花火だと思う。暫くすると花火の勢いが弱まり、今度は音楽に合わせたリズムのある花火が上がり始めた。これもまた綺麗だった。

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