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再就職先は超絶ホワイト企業でした
官能リレー小説 - その他

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再就職先は超絶ホワイト企業でした 1

1年も持たずに新卒で入った会社を辞めるなんて、内定をもらった当時の俺にはとても信じられないことだろう。あの頃見た夢は儚かった。現実はあまりにも厳しかった。
毎日のように残業、毎週のように休日出勤、朝一で出社し終電に間に合わない日だってザラだった。
うまくいかないことだらけ、毎日のようにミスして上司からの罵声を浴び続けた。
たぶんパワハラに当たるのかもしれないのだが、報復が怖くて訴えられなかった。


そんなわけで、俺―山岸拓海は、求人サイトで絶賛再就職先の検索真っ最中だ。

「ここって、どうなんだろうな…」

ブラック企業に身を置いていた人間にとって、ひときわ惹かれる一文がある。
残業一切なし、休日出勤もなし。
仕事内容は二の次にして、俺はその会社に対し履歴・職歴など必要な項目を入力してエントリーしてみた。



エントリーした次の日の朝には、その会社から返信が来ていた。
ご縁があるか、それともお祈りメールなのか、クリックして開くと

「山岸拓海さま、あなたを採用いたします」

という一文。

「え、面接もしてないのにマジで!?」
面接の日程とか書類審査とか通り越していきなり採用。人事担当とかの話すら聞いてないのに大丈夫なのか。会社ができてまだ数年で、社員の平均年齢も若いところだが……正直不安だった。

しかも採用メールを見ると、人事担当ではなく社長が送っていた模様。
釘宮佳純さんという方らしい。
メールには明後日の朝、会社に来てくださいと最後に書かれていた。



「よし、行くか」
数か月ぶりにスーツを着て家を出て、電車に乗って新たな職場へ向かう。不安ではあるけど、思い切って行こうと心に誓った。
乗り換えなしで電車に乗ること40分ほど。前の会社より時間はかかるが大した差ではない。
案内にあった最寄り駅を降り、改札を出て10分ほど歩くとこじんまりとしたオフィスビルがあった。「事務用品の開発、製造、発注を行う会社」だと、求人サイトには載っていた。

入り口の自動ドアから中に入ると、受付で女の子が待っていた。

「やっ、ようこそ。君が山岸拓海くんだね?」
「は、はあ」
見た目、そんなに年齢が離れていないように見える。可愛いし、結構おっぱいデカい。

「初めまして。私が社長の釘宮佳純です」
「えっ、社長!?」

てっきり佳純(よしずみ)という男の人だと思っていた。しかし実際には佳純と書いて「かすみ」と読むらしい。

童顔で背もそんなに高くないけど、赤いジャケットに黒のミニタイトが特徴的で大人だと言わんばかりの自己主張を感じさせる。足元も精一杯高いヒールで、文字通り背伸びしているように見える。
お嬢様タイプでも清楚とか内気の方でなく、プライドが高い負けず嫌いのほうかもしれない。

「ささ、着いて来て。遅れちゃダメよ」
「は、はい」

彼女は電動のバランススクーターに乗っており、早歩きぐらいのスピードだ。自分だけ楽をしてとか、見るからにワンマンとは思っていても絶対に口にはしない。

「これから、この会社の起こりについての動画を見ていただきます」
「はい、貴社の歴史には興味があります」
「いい心がけね」

会議室に通されてスクリーンに動画が映し出される。これは見てどう思うかよりも、見ているときの態度を見るきなのだろう。

「アニメですね。すごく斬新です」
「再現ドラマとか白々しいし、退屈でしょ」

この手の社長だからドラマ仕立てで、大層に女優を使ったりするのかと思っていたら、なんとアニメだ。ドリームガールKASUMIという題名で主題歌まであったし、ヒロインがセーラー服姿でドン引きしそうになる。
なんと彼女の就労経験は中学生の頃からで、家出がきっかけでバーでの手伝いから始まって、みるみるうちにバーテンダーに出世する。
そこで、客との雑談から人脈が生まれ、頼まれると臨時の仕事も受けて様々な業界との接点を持ち、派遣社員を経て秘書のような役割もして経営についても知る機会を得て起業に至るという内容だった。

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