交差 19
「いいですよ俺のなんか;…それこそ見せられたモンじゃないですから;…」
大きさといって自慢できることは何ひとつ無いし;…
「退けろ…」
えっ?…いつもの命令口調じゃないですか;…
まぁ裸になっても上司と部下…立場は何も変わって無いってことですよね…
「わ、分かりました…」
あくまでも室長の指示に従えっていうのは、社長からも言われたことですからね;
おずおずと股間の上に置かれたタオルを剥ぐ…
男同士とはいえ、こんな形でココを見られるは恥ずかしい;…
こんな思いをするぐらいなら、始めっから見せていた方がどんなによかったか;…
「ふぅ〜ん…」
おいおい、“ふぅ〜ん”って何だよ;…
せめて一言ぐらい感想があってもいいじゃないのか?
「出すもん出したせいでか…縮籠っちゃってますよ;…普段はもうちょっとはマシなんですけど;…」
トイレでのオナで抜き切った後だけに、男性ホルモンの欠片もソコに宿ってはいない;…
俺のソコはガキんちょのソレみたいに萎縮し、余った皮が朝顔の蕾みたいにトグロを巻いていやがる;
そんな中でサウナの熱により双つの玉袋だけが長く伸び、そんなアンバランスが何とも滑稽だ;…
「よし、帰るぞ…」
うぇ?!…
今入ったばかりじゃないですかぁ…
これじゃまるで俺の粗チンを見る為だけに来たようなもんじゃないかよ;…
俺の目の前でスクッと立ち上がる室長…
こんな至近距離で室長のモンを見ることになろうとは;…
タオルをヒョイと肩に掛けサウナ室を出ていく室長…
引き締まった尻が目に焼き付いてしまう…
ヒクン…と兆候をみせる俺のモノ…
うぉい;…何考えてんだ?…
その自分自身に戸惑い…俺は慌てて頭の中から室長の裸体を振り払った…
…………………………
「で?…」
シャルトリューズのカクテルを傾けながら詩織は好奇心満載の顔をする…
「“で?”って…直人のことか?…」
分かっている癖にそ知らぬ振り…
そうあっさりと教えるのも芸がない…
「その為に外出したのよ…優紀と直人が二人っきりになれるように…」
社長がそんなんで、会社の方は大丈夫ですかね;…
「それは分かってたさ…詩織の予定は全て把握しているからな…」
それが秘書である俺の役目…
詩織の行動はオフタイムまで分かっているつもりだ…
「それじゃあぁ…どうだったの?…」
俺が従うと分かっていながらに無茶な指示を出した詩織が小憎らしいんだけど…
「社内じゃやっぱ抵抗あって無理だったさ…」
誰が入って来るか分からない社内で、部下のパンツを下ろせる訳がない…
「ふぅ〜ん……で?」
また“で?”かよ;…
あくまでも俺が確かめてきたって、疑う余地もないんだろうな…
「社内じゃ見れなかったって言っただろ…」
詩織を少しでも焦らしたい…
何でもかんでも俺が従うと思っているところを正したい気持ちもある…