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春陰
官能リレー小説 - レイプ

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春陰 2

男が起き上がりベットから離れた。
「あっ……」
私は股間から、ぬるぬるとした男の出したものがあふれてきたのを感じて、思わず声を出した。
男がふりかえり、私は体の向きをかえた。
背中ごしに男が見つめているのがわかった。
男が部屋を出ていく音が聞こえた。
私は男の顔をはっきり思い出せない。
紺色のスーツ、私より頭ひとつ高い背丈の少し痩せぎみの男性が、電車で目の前や隣に立っただけで、鳥肌が立ち、息が苦しくなる。
日が暮れて部屋の中が薄暗くなるまで、私はベットから起き上がれなかった。
こんなに悲しいのに、ふだんと同じように尿意をもよおしたり、空腹感や喉の渇きを感じることが不思議に思えた。
私はトイレで座っていて、男の出した白濁したものがたれて、内腿で乾いているのに気がついて悲鳴を上げた。
警察には通報しなかった。
現金は小銭以外は部屋に置いていなかった。
空き巣の男は私を犯して、物やお金を持ち去ったわけではなかった。物色するために部屋を散らかしたりもしなかった。
警察官にレイプされた状況や相手の人相を説明できるほど、冷静ではいられなかった。
私はトイレで吐いた。
妊娠するかもしれない恐怖がこみあげてくる。
シャワーヘッドを股間に押しあて、強い水流で洗い流していて、クリトリスをお湯のしぶきが刺激してしまう。
体がびくっとはねてしまいそうな性感が、犯されて感じていた自分の罪深さのように思えた。
その週は大学に行けなかった。部屋にひきこもっていた。
妊娠はしなかった。
私はこの日のことを誰にも言わないと決めた。
三十歳の誕生日。
私は部屋で、ひとりぼっちで震えている。
大学を卒業するまで、親に転居したい言えず、引っ越しもできずに犯された部屋で暮らした。
「そろそろいい人見つけてくれないと」
母親がたまに電話をかけてくる。
私は結婚できる気がしない。
男性と話すのも平気だが、抱きしめられたり、煙草の臭いなどしようものなら、息が苦しくなったり、吐き気をもよおす。
結婚してもスキンシップもセックスもせず、子供もいらないという人などいるのだろうか。
私は携帯電話で使えるコミュニケーションサイトで顔も知らない男性たちと、サイトメールをしてさみしさをまぎらわせている。
会いませんかという誘い断ると、男性たちはメールをしてこなくなる。
それまでは、朝はおはよう、夜はおやすみ、とまめにメールしてくる。読んだ本や、みた映画の感想の話にもつきあってくれる。
ひまつぶしの遊びのはずだった。
一年間メールでやりとりだけしている男性がいる。
会いたいと誘ってこない。ネット上だけのつきあいとわりきっているようだ。
もし私の秘密を知ったら、めんどくさい女と思って離れていくだろうか。それとも、かわらずに関係を続けてくれるだろうか。
私は彼に顔も本名も住所も教えていない。過去の身の上話をしても、どこの誰だかわからないはずだ。
つらさをわかってもらいたいわけではない。
ありのままの自分で愛されたい。
それだけのことなのに。

[完]


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