謎の学校 7
―さて。
朝、目が覚めた俺は起き上がり、まずは着替えをする。
赴任当初はスーツでビシッと決めていたが、この学校に制服の概念がないことを知った後はラフな格好もいいとこだ。
寝癖で乱れた髪を整え、授業で使う資料を持って寮から校舎へ向かう。
校舎の1階には食堂がある。
全寮制なので学生も教師も朝昼晩ここを利用する。
「原久田君、おはよう」
「ああ、おはようございます」
声をかけてきたのは高村鮎子さん。
この食堂の料理長を勤める方で、校内で数少ない俺よりも年上の人だ。
鮎「この学校にはもう慣れた?」
「まあ…俺以外女の子ってのは多少きついですけど」
鮎「まあ、そうかもね。でも、これがこの学校の慣わしみたいなものみたいだからね〜」
「そうなんですか…」
鮎「そう。それに、原久田君はこれまでの男とは違って、うまくやれそうな気がするわよ?」
「ホントですか?」
鮎「ええ」
そんな気はまったくしないが、鮎子さんに言われたのなら頑張るしかない。
俺は朝食のメニューを取って、適当な場所で飯を食べる。
と、そこに
「おはよ〜史ちゃん♪」
「おう」
目の前に、白衣を着た女性が朝食のメニューを持ってやってきた。
西園鈴。
この学校の養護教諭であり、幼い頃、近所に住んでいた幼馴染である。
理事長である今野さゆりとも中学の頃から同級生であり、仲がいい。
この鈴だが、他とは明らかに違う。
教師も生徒も黒髪ロングやツインテールなのに、コイツだけなぜか茶髪なのだ。
鈴「どーだい、この学校でもう2ヶ月だけど」
「一言で言うと、不思議な学校だよな」
鈴「まあ、それは感じるだろうね」
「ここは、どうして出来たのか知ってるのか?」
鈴「私はよくわからないなー。今野さんのご両親が関わってるみたいだけど」
やはり今野が…?
鈴「それにしても史ちゃんは大人気だよ」
「…そうなのか?」
鈴「うん。他の学年の子も気になるみたい」
嬉しいのか悲しいのか。
鈴「史ちゃんだったら、きっとうまく行くよ」
その言葉はどこから出てくるんだろうな…
鮎子さんも、鈴も…
そして俺は食事を終えて職員室に行った。
鈴は原久田が行った事を確認すると、茶髪のかつらをとった。
この二ヶ月間、俺は全く気付いていなかったが鈴の茶髪はかつらで、本当は黒髪が腰まであるロングだった。