背伸びしたいお年頃。 4
「じれったいわね」
「なかなか出てこないなぁ」
「いっそピューって走り去ってかれたほうがすっきりするかも」
しびれを切らしたアリスは結菜を連れて翼の車に近づく。
「あの…」
「おぉ、近くで見るとさらにイイ男かも」
「君たちは…」
「お兄さん、せっかくだから、外出て、私たちと一緒にどう?」
「“どう?”って何だよ…?」
嬉しくはあるが、翼は素直に喜べない…
「もぉおじれったい男ねぇ!…いいはぁ私はあのライフセーバーにするからぁ!」
業を切らしたアリスは怒りながらその場を立ち去る…
気が短いのがアリスの難点なのだ…
「あぁ〜あ、お兄さん怒らせちゃって…女の子の扱い下手くそだね。」
結菜は苦笑いを浮かべながら、翼の肩をポンポンと叩く…
「いや、俺なんて…学生の頃から女の子となんてロクに話したことないし…」
「もったいないなぁ、お兄さんかっこいいのに」
「いや…」
ニコニコ顔の結菜に対し、翼は視線を合わせられず俯く。
結菜のカラフルな水着から豊かな胸の谷間が覗く。
翼は一瞬それを見ると小さく息をのむ。
これじゃあこの子とどっちが年上だか分かりゃしないよな;
あの子に逃げられても当然か…
翼は自分の経験のなさに苦く笑うしか無かった…
浜辺に戻った少女は、いつの間に現れたライフセーバーに笑顔を向けていた。
周りの少女たちも同様に頬を高揚させている。
なんだよ…僕への誘いは冷やかしに過ぎなかったってことか?…
まあライフセーバーの鍛え上げられた胸筋に割れた腹筋…小さな競パンを盛り上げるモッコリとした小山を見ると、自分なんて勝負にすらならないと…翼は肩を落とすしかなかった。
「お兄さんも向こうが気になる?」
「え、いや、そういうわけじゃ…」
結菜はまだ翼の顔を覗き込んでいる。
その姿が可愛らしいけど面と向かって見ていられない…翼はまた俯く。
「私、結菜っていいます。中学二年生」
「ち、中学!?」