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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 70

『はぁ…』
複数の溜め息がまるで示し合わせたかのように重なった。
「な、なによ」
「まあなんと言うかな…」
とヘンドリック王。
「あまりにも予想通りの反応でしたので」
とアンナ。
「たしかボッキ茸の時も似たような展開でしたね」
とティーエ。
他にもファニーの発言にまたか、と呆れた者が多数いたようだ。
「だがしかし人員が足りないのも事実。いいだろうやってみろファニーよ」
『王!』
魔物の追討部隊に自国の姫君を差し向けるというトンデモ発言に、またしてもハモる会議。モンデール王国の連帯感はかなり強い。
「姫様をそんな危険に晒すわけにはいきませぬ。どうか騎士団にお任せください!」
「いや、騎士団は先の襲撃で弱体化して再編成が必要だ。国軍も同じ。今は動かせん」
ヘンドリック王の言うことはもっともだった。騎士団や国軍の弱体化はここ数週間の強行軍で浮き彫りになった問題だった。実際この会議でも議題として出ている。
今動ける戦力は無かった。
「ということでファニー、適当に三人ほど選んで連れて行け。連絡役は、そうだな…最近雇った獣人達に任せよう。お前に会いたがってる奴等がいるんでな」
「はい!」
ファニーは旅の同行者として選んだのは、アンナとティーエ、そしてライズの3人だった。
その3人の内、最初に頭に浮かんだのがライズだった。
いや、会議で追撃部隊に志願したのも、そうすればライズとまた一緒に旅ができると考えたからだ。

あの時、父の部屋を出た後、ライズの部屋へ行ったとしても、自分がどうするきだったのか、未だに判断しかねていた。
正直言って、ダス・ライヒの出現は結論の先延ばしに繋がったので、大層ありがたかったのだ。
それと、ステファン公子のことも気にかかってくる。
これまではあまり気にともていなかったのだが、彼は自分の婚約者でライズと知り合いなのだ。
ひょっとしたら友人なのかもしれない。
生きているなら一目でも会ってみたい。
結論を出すのなら、それからでも遅くはないはずだ。

会議から三日後、ファニーは出発前に連絡係の獣人と引き合わされた。
「お久しぶりです。またこうしてお目にかかれて光栄です」
「あの時は父が大変お世話になりました」
それはジュラーブリクとラーストチュカの兄妹だった。
「あなた達が連絡係なの」
「はい、ヘンドリック王から要請が来た時、志願いたしました」
「姫様たちとこのままお別れと言うのはさびしいとおもいましたし」
「そうなんだ」
ファニーも彼らの力量は知っていたので、とても心強かった。
「僕もラーストチュカちゃんとあえてとっても嬉しいよ」
「はあ・・・」
ライズは早速ラーストチュカの手を握り締めていた。
(こいつは・・・)
ファニーは青筋立てて怒ったが、とりあえずは我慢することにした。
こうしてファニーの新たな冒険がスタートすることになった。

ドーリスへの道のりを行くファニー一行。
幸い天候に恵まれ、暖かい陽射しを受けながらの旅だが、雷警報である。
「私、獣人の村以外はあまり知らなくて…」
「へぇ〜、もったいないなぁ、世界は面白いよ。 今度仕事抜きで旅しない?」
楽しそうに話しているラーストチュカとライズの後方が雷警報だ。
「……あんの…馬鹿…」
バチバチと魔力が無いはずのファニーから強烈な電光が発せられ、アンナ、ティーエ、ジュラーブリクは頬に汗を垂らしながらこの様子を見ている。
(あぁ…そうでしたか…)
と悟ったのはティーエである。
成程、ファニーの不機嫌の理由、それはライズのようだ。

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