群れなして蠢く美しき屍 66
「んぐっ・・・んぐ、んぐ、んぐ・・・」
「ふああぁンっ♪の、飲まれてるっ。誠様に私のおっぱい、飲まれてるよぉっ。
う、うれしいっ。うれしいよぉっ・・・♪」
自分のミルクを飲まれ、歓喜に震える新入りの声をBGMにまずは現状を整理する。
今誠の元にいる女たちは復活した弥生+月の1体を加えて7人。
人間かどうか怪しいヤツやスキあらば下剋上を仕掛けてくるヤツもいるが、おおむね誠に従順だと言えるだろう。
少なくとも精液を与えている間は。
だがこの狂った世界を生きていくに当たり、誠はもっと戦力を充実させなければならないのではないかと考えている。
その主な原因はこの間ホテルで出会ったあの男の存在だった。
自分以外にも生き残りがいると知ったときには正直安堵した。
何だかんだ言って、やはり誠も不安を覚えていたのだろう。
そのために自分と同じ(?)人間を探していたのだ。
でも偶然見つけた生き残りは狂っていた。性欲におぼれ、下種の極みとなり果てていた。
おそらく生き残りは他にもいるだろう。だがその生き残りがみな誠のように理性を保っているとは考えにくい。
むしろあの男のように欲望丸出しの下種に成り下がっていると思ったほうがいいのではないだろうか?
何せ今まで出会った女はみなことごとく男に飢えていたのだから。
この世界で生きていくためには、これからも生き残りの人間を探すことになるだろう。
しかし出会ったとき、平穏無事に終わるとは限らない。
不測の事態に備え、力を蓄えておく必要がある。
それが誠の出した結論だった。
そのためには手段はおおよそ2つに分けられる。
すなわちホテルの男のように狂った女たちを支配下に置くか、銃やナイフで武装するかということだ。
1番手っ取り早いのは女を増やすことだろう。
しかし無計画に増やしすぎると誠の負担が増えるし。ホテルの女たちみたいに忠誠心の低い兵士になってしまう恐れがある。
優秀な女をいかに効率よくスカウトできるかがポイントとなるだろう。
武装案については簡単なようで結構難しい。
今でこそ見る影もないが、ここは法治国家日本である。
平和主義を掲げるこの国で包丁のような短い刃物や棒きれとかならともかく、銃のような強力な武器の入手は極めて難しいだろう。
何しろ自動車を追いかけるような化け物女がうろちょろしている状況なのだ。
我先にと強力な武器を手に入れようとするはず。
誠は考えた結果、手近な警察署を目指しながら、優秀な人材を見つけて仲間にしていくことにした。
再び始まった生き残りを探す旅路、その下準備編。
誠は無事、彼の思うような力を持つことができるのだろうか?
――――
「誠様、また来ましたっ!」
「またかよ!?くそっ、全身全力で逃げるぞっ!」
『ハイっ!!』
誠の指示を受け、車は踵を返してそこから逃げる。
その背後からはもはや理性の欠片すら感じられない飢えた獣のような女たちが四つん這いになって追いかけてくる。
その光景はかなり怖い。
誠たちが町に戻ってからというもの、ずっとこの調子だった。
町に入って10分と経たないうちに、彼らは獣と化した女たちに襲撃された。
それもかなりの集団・・・否、大群に。
戦力の増強を目的としている誠にしてみれば、まさにスカウトし放題じゃないかと思うだろう。
しかしそれは交渉(SEX)する余裕があればこそ。
あんな大人数で、しかも化け物じみた動きで迫ってこられては勃つものも勃たない。
ヤり殺される前に食い殺されるんじゃないかと思うくらいだ。
それだけに連中のしつこさは半端なかった。
1度車に取りつかれるとなかなか振り落とせず、車のガラスはほとんど連中に割られてしまった。
事前に襲われたときの準備(と言っても石や木の棒で武装するくらいだが)をしていなければ、終わっていたかもしれない。
おまけに町を出る前と比べ、襲撃の仕方がレベルアップしている始末。
以前はただ追っかけて来ただけなのに、今度は街灯や電柱、ビルの壁から飛び降りてきたり、別働隊のところに行くように誘導したり。
SEXするためならライバルとも手を組むと言わんばかりの連携だった。
このままでは警察署に行くことすらままならない。
そう悟った誠たちは、何とか狂える女たちの執拗な追撃を振り切り、再び町のはずれまで戻ることにした。
美樹たちも辟易しているようだし、休憩がてら対策を練るためである。
「あ〜・・・もう、ど〜したらいいもんかな〜・・・」