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ピピの錬金術士 ビリーのアトリエ
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ピピの錬金術士 ビリーのアトリエ 60

「…約束だぞ」
それだけ言うとザムザは出口の方へ向かって歩いていった。
「アーロン様、よろしいのですか?ピピの貴族達に相談もせず勝手にローグ伯爵夫人とビリーをやる約束をしてしまって…」
ザムザが去った後、部下の一人がアーロンに尋ねる。
アーロンはフッと笑って言った。
「構わんよ。どうせ約束なんぞ守る気も無いしな。任務をやり遂げて戻って来た暁には、またこの地下牢にブチ込んでやるだけの事だ」
「何だ…やっぱりそうだったんですか。じゃあヤツにとって最良の選択は、このままトンズラして鬼族とも我々とも一生関わらずに生きていく事ですかね」
「そうだ。だからこれは賭けだよ。ピピの貴族共は怒るかも知れんが、まあ、逃げられたとしても別に惜しい人質ではないし、敵の本拠地を突き止めて戻って来れば儲け物だ。実にローリスク・ハイリターンな勝負だとは思わないか?」
「確かにそうかも知れませんねぇ…」
「さぁ、我々も出発の準備をしようではないか。ピピの貴族共がビリーに逃げられた腹いせに山狩りを行っている。我々も先を越されてはならんぞ。一人でも多くの鬼共を探し出し、見つけしだい地獄へ送ってやるのだ!我々が神に代わって異教徒共に裁きを与えてやらねばならん!」
アーロンは目を爛々と輝かせながら嬉々として言った。

地下牢を出たザムザはシナイ山の方に向かって歩きながら考えていた。
(さて、どうするか…ヤツラの望み通り、仲間達と合流して本拠地を探り出すか…それとも、このまま逃げるか…)
もちろん彼もアーロンを100%信用している訳ではない。
むしろ不信感の方が強かった。
しかし…と彼は思う。
彼はビリーとミネアの事を考えた。
あの二人の美女を我が物に出来るなら…。
どうせこれ以上失う物は無いのだ。
やってみる価値はある。
そんな事を考えながら歩いていた、その時である。
ドスッ
「う…っ!?」
突然、右肩に鋭い痛みが走った。
見ると、何と一本の矢が突き立っているではないか。
「だ…誰だぁ!!?」
ザムザは矢の飛んで来た方に向かって叫んだ。
「ククク…見つけたぞ」
「こんな所を一人でのこのこ歩いているとは…とんだマヌケだ」
そう言いながら木や草の影から姿を現したのは数十人の兵士達だった。
鎧や盾にはピピの紋章が描かれている。
「ピ…ピピ軍の兵か!?俺はザムザだ!アーロンから話は聞いてないのか!?」
ザムザは慌てて兵士達に尋ねた。
「何を言ってるんだコイツは?」
「耳を貸す事は無い。クロトワ公から鬼族は全て殺せと命令されている。やれ!」
兵士達は弓矢の狙いをザムザに定める。
「ま…待て!!俺は違うんだ!これは作戦なんだぁ…っ!!!」
バシュッ!バシュッ!バシュッ!
ザムザの必死の弁解むなしく、放たれた数十本の矢はザムザの体を射抜いた。
「ウグゥ…」
突き刺さった矢でハリネズミのようになったザムザの巨体は、ゆっくりと傾き、ズシンと地面に倒れた。

「あら?何かしら…」
「どうしたの?マルル」
国境へ向けて移動を開始した一行がシナイ山中の道無き道を突き進んでいた時だった。
マルルが何かに気付いたように立ち止まったのだ。
「何かが聞こえます。たくさんの人の叫び声みたいな…」
「…本当だわ!」
「ここからそう遠くない場所よ!」
他の鬼の女達も気付いたようだった。
フリッツは半信半疑で言った。
「本当なのかい?僕には全然聞こえないよ。何かの聞き間違いって事は…」
それに対してビリーが言う。
「自然の中で裸で暮らしてる鬼族は人間よりも感覚が優れてるのよ」
「そうなのか…って事は近くで鬼族のゲリラとピピ軍が戦ってるって事じゃないか?」
「だったら良いんだけど、もしかしたら私達と同じように逃げていた女性や子供達が襲われてるのかも知れないわ!」
「どっちにしても様子を見に行く必要があるな。僕が行って来るからビリー達は構わず国境を目指すんだ!」
「何言ってるのよ!?私も行くわ!みんなを助けなきゃ!!」

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