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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 55

ザラディエが膝を着くが、自分を抑えて妹たちは呪文を放った。
『・・集いし怨霊よ、その力を示せ!はあっ!』
ロールとリールが同時に両手の指総てを前方に向ける。合計20体の怨霊騎士が解き放たれた!
!!
アンナが固まってしまう。ザラディエをダウンさせて他の二人もそれに気を取られて攻撃がとまると思ったのだが予想が外れたのだ。
ぬわり。
そう形容すべき不気味な音とともに、髑髏たちが全身を具現する。霊白色の全身鎧が20体、ザラディエたちを守るように姿を現した。
「行きなさい。あの人間どもを切り捨てて!」
ロールが叫ぶ。20体の怨霊騎士が冷え切るような霊威を身にまとって重厚な前進を開始した。
「兄さま!」
「しっかりなさってください!」
指に乗せた怨霊たちを放った妹たちがザラディエを抱え起こす。
「うぐ・・・」
頭を振り、意識をはっきりさせようとするザラディエ。
「すまんな・・・うむ、お前たち、皆を起こすのだ。」
怨霊騎士での奇襲を狙って、雄叫びを受けてすくみあがったり吹き飛んで気絶したままだったのをあえて放置していた配下たちを立ち直らせにかかる。


「うわわわっ。ちょ、ちょっとっ!」
必死の形相のライズが突進してきたムリヤを紙一重で避ける。体格差からしてあのタックルをまともに食らえば骨折は避けられまい。
いつの間にかミザリィは離れている。

「まずすぎるわね・・。」
「今はあの怨霊に集中しましょう。ヌシはライズにしか眼が行っていないようです。」
ライズを除く4人は怨霊騎士たちに対峙していた。
「皆さん、二分ほど時間を稼いで下さい! 呪文で一掃します!」
アンナが叫ぶ。他の3人は頷き、前衛に出た。
「戦の神マイリーよ。我の前に敵は在り、迷い驕り愚かしく哀しき者達なり…」
「行くよミネルバ!」
詠唱開始と同時に、ファニーは神剣を抜いて跳んだ。
花嫁衣装を着ているとは思えないスピードで怨霊騎士に肉薄する。それもそのはず獣人族の花嫁衣装は山歩きができるように動き易くなっている、よって戦闘にも支障は無かった。
「はっ!」
ミネルバが一閃し、怨霊騎士の腰骨を粉々に砕いた。アンデッドの弱点がそこだと言うのはライズの受け売りだ。
腰骨が弱点なのは、下級種であるスケルトンだけなのだが、神剣ミネルバの威力は凄まじく、一撃で怨霊騎士を倒した。
しかし数量の差は歴然としている。
苦戦は免れない。

一方のザラディエ達は撤退の準備をしていた。
目的である山のヌシの精液を手に入れた以上、長居は無用だった。
ヌシの精液を受けたデーモンの美女を中心に置き、できるだけ一塊になろうとする。
ザラディエは帰還の魔法で、全員を砦へと還すことにした。
貴重な魔力増幅の魔石を全て使い切ることにより、普通ではあり得ない、大規模な帰還魔法を成功に導こうとしているのだ。
「偉大なるマナよ、我と我の仲間を望む地へと還したまえ。リターナー」
魔法の発動とともに、ザラディエ達の姿が薄れてゆき、やがて完全に消えて無くなった。
ザラディエの魔法が発動したのと同時に、アンナのターン・アンデットの魔法が完成した。
「悲しき勇者たちを、安らぎの地へと還したまえ、ターン・アンデット」
アンナの手から聖なる光がわき上がり、怨霊騎士達をてらしてゆく。
カシャン、カシャカシャン
光を浴びた怨霊騎士達は、次々と倒れ、塵にかえってゆく。
全ての怨霊騎士は、アンナによって全て浄化されたようだ。
「ふー、ようやく終わりましたね」
ほっと胸をなで下ろすアンナ。
しかし、全てが終わったわけではなかった。
ライズと対峙していたヌシが、異常な行動を取り始めたのだ。

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