PiPi's World 投稿小説

おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 37
 39
の最後へ

おてんば姫、ファニーの冒険 39

あまりの妙な格好の集まりに、ムリヤは頭を殴られたような妙な気分になったし、何をどう対処していいのかしばし迷った。
「・・・・・・・どういう余興だ。」
汚らわしいものを見るのに近い目つきで彼女たちを見つつ、それだけを口にした。
想像以上に険悪な雰囲気で返され、彼女たちはやや腰が引けた。だが引くわけには行かないと自分を励まし、応じた。
「グリンデ様は」
「仲間にはならぬと言ったはずだ。我らのことはほうっておけばよかろう。」
さえぎるようにムリヤが返した。
(ここで引いちゃ駄目、何のためにここまでがんばったと思うの)
リールは魔族の復権のためにどんな屈辱でも耐えようと覚悟を決めていた。
しかし、まさか26にもなってセーラー服を着ることになるとは思わなかった。
しかも相手は熊だ、動物語がしゃべれるというのが災いしたのだろうか。
そんなリールの勇姿を、姉のロールは森の木陰から見ていた。
(リールがんばるのよ、その萌え萌えファッションで相手を悩殺よ)
ちなみに姉ロールの格好はスクール水着に体操服(名札付き)の上着をきて、背中に赤のランドセルをしょっていた。
無論、ランドセルにはリコーダーがさしてあった。
ちなみに花の独身、32歳である
ムリヤの法は萌を感じるどころか、頭が痛くなってきた。
(ええい、一度痛い目見んと判らんようだな)
30分後、魔族の女性神官部隊は撤退支援部隊を含めて全員が倒れていた。
掌で一発殴っただけなので、ただ気絶したいるだけだ。

ヤヌスは指揮官らしいロールの側へ来ると、落ちていた羽ペンで、額に“肉"と一文字書いた。
そのまま悠々と引き上げていった。

獣人の村を出た一行は昨日と同じく山を進んでいた。
先頭には土地勘のあるジュラーブリクとラーストチュカ、真ん中には艶やかな花嫁衣装を着たファニーとアンナ、しんがりにはライズが付いていた。
朝から不機嫌なライズは歩きながら腰の剣を弄り、鍔鳴りの音をカチカチ五月蠅く言わせている。
前を行くファニーはライズの様子が気になりつつもその理由が分からず、また彼のあからさま過ぎる態度を意外に思って、なんとなく声を掛けられないでいる。文句の一つも言えやしない。
それにさっきからずっと見られているような気がして、こそばゆい気持ちになる。とても不思議な気分だ。

ぺしぺし。
「お前たちしっかりせい。」
気絶した娘たちを魔物たちが救助している。
「あ・・・・兄さま・・・・・。申し訳ありません。」
「ロール、怪我はないな。」
「はい。」
「姉さま、ご無事ですか?兄さま、お恥ずかしいところをお見せしました。」
先に意識を取り戻したリールの姿もある。
支援部隊の指揮を執っていたザラディエも妹たちの手当てをしていた。
「おおまかな様子は見せてもらった。残念ながら今回の手では彼の気は引けぬようだ・・・。」
萌えでヌシの気を引くと言うのはロールたちが志願して提案した手段だったが、どうやら失敗だったらしい。
次に同じ手で行けばヌシも激怒しかねないしそうなれば彼女たちは即殴り殺されるだろう。
精を得る為だから近づかないわけには行かないのだ。
「だが、こちらが戦うつもりが無いならたとえ殴られはしても死なずにはすむようだ。次の手は考えてある。」
・・・・邪神官の面目もあるしロールたちが望んだゆえ今回は邪神官のみの一隊を差し向けたが、次は淫魔なども交えた混成部隊でやるしかないようだな。
この手は明日以降行うとしよう。
メメール山岳には数多くの魔物たちの拠点が存在することはすでに述べた。
古代城砦を見つけて改修した物が多いが、新築したものも存在する。その中には捕虜収容のためのものも当然存在し、捕えた人間たちはいくつかの施設に分散収容されてていた。モンデール攻撃などで攫ってきた女たちを放り込むものや、要人を軟禁する為の施設の整った建物などだ。
ステファンが捕まっているのもそんな要人用の建物の一つである。石造りの二階建ての建物で、やや贅沢な内装の小型の城という趣があった。周囲は切り払われた見通しのよい庭、その周りには石の城壁で中と外を完全に遮断している。
そんな中、彼がいるのは2階にある居室。そのなかで椅子に身を沈めるように腰掛け、鉄格子入りの窓を眺めていた。
「この格子がなければ、あれらがこの部屋にいなければ、捕まっていることすら忘れそうだな。」
秀麗な顔に無念の色を浮かべ、呟いた。
その後ろ、出入り口そばには「あれら」が控えている。大きさは人間と同じ。基本的な形も人間と同じ。来ている服はメイド服。
だが・・・・・。「あれら」には血も肉もなく、皮もなかったのだ。そう。彼女たちはスケルトンなのである。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す