無人島の女神様 3
「そう…ですか。では、『儀式』の準備をしましょう。桐谷さまをお迎えするために。」
「はい…お姉様、やはり、あの『伝承』は本当なのでしょうか?」
「少なくとも、今は『伝承』通りに事が動いているのは事実です。それを確かめる為にも、『儀式』を行わなければ。」
「わかりました。では、私も準備をします。」
「頼みますよ、フローラ…」
「あのお母様には・・」
「クレアお母様には私が言っておきます。」
フローラの部屋のベットでボーと天井を見ていると、フローラが入ってきてタンスを開けて踊り子が着るような服を取り出し着替え始めた。
「フローラさん?」
着替え終えると僕に話しかけてきた。
「これから桐谷様を向い入れるための簡単な儀式を行います。」
なぜか、『桐谷さん』から『桐谷様』に呼び方が格上げされている。
着替え終わったフローラは、そのまま僕の前に立った。
「桐谷様は…女神と聞いて、どんなイメージを持たれますか?」
「えっ…そりゃあ、顔は綺麗でスタイル抜群で…あとは…人間には不可能な奇跡を起こせる…とか?」
「そうです。確かに私たちは不可能を可能に出来る特別な力を持っています…ですが、その力は無限ではありません…」
「えっ、それはどういう…」
「いくら私たちが神と言っても、不可能を可能にするというのは、一時的に世界に干渉し、既に決定している結果を書き換える事になります。その為にはそれなりの代償…私たちの命を引換えにしなければなりません。」
「そん…なっ」
「もちろん、神である私たちの寿命は数百年とありますが、奇跡と言うのは滅多に起こらないから奇跡なのです。」
フローラさんは遠くを見やりながら、ゆっくりと僕に近づき、静かに隣に座った。
「一度失った寿命を補充する事は出来ません。ですから、私たちの寿命が尽きる前に、この力を次代に伝えて行かなければいけないのです…」
そう言ってフローラさんは突然僕に抱きついて来た。
あっけに取られていた僕はフローラさんに押し倒される形になった。
「あ…あのっ、フローラさん」
「次の質問です。どうやって力を伝えて行くでしょう?」
「えっ…そ、それは…」
「簡単です。強大な魔力を持った異性と交わり、神の御子を成せばいいのです…そう、桐谷様の様な方と。」