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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 121

(恩知らずが、よくもまあそんなこといえたものだ)
他国の者がこの街を邪悪な街というのなら判る。
だが、その邪悪な街によって支えられたドーリス王家の人間には言われたくなかった。
モンデールの半分も国土がないドーリスが、軍事的に対抗できてたのは、ルーグからの献金があったからだ。
毎年の献金のほかにも新王の即位や崩御など、慶弔様々な行事ごとに金を送っている。
ルーグこそがドーリスを支える柱である。
そう自負している街の住民も少なくは無い。
だが、フローラ王女の一言は、その気持ちを逆撫でするものだった。
「決心はつきましたか」
瞑目するギルバーンに問い掛ける者がいる。
それは慈善家としてこの街にやってきたりリスだ。
無論、慈善家などというのは表の顔、真の顔は海を隔てた西にある大国、メリーナ国の密偵だ。
ギルバーンもまたそれを承知していながら彼女を一風変わった上客として扱っていた。
リリスは本来は伸張する魔王軍の活動状況を調べるために来たのだが、アイラ島でファニーに一目ぼれをして以来、彼女を手助けする行動をとっている。
シャーリーを通じて、市長とファニーの会見場を設けたのもその一つだ。
「ファニー王女のご器量は御判りになったはず。恩を売っておけば先々必ず街の発展にお役に立つはずです」
「確かに並みの王族ではなさそうだが……」
ドーリスとの関係上、そう簡単に肩入れするわけにはいかない。
だがフローラ姫の発言を考えると、モンデールとの結びつきが欲しかった。
「モンデールという国に対しては無理だが、ファニー王女に対する個人になら、できるだけの範囲でなら便宜を図りましょう」
「ありがとうございます。ファニー様もお喜びになるでしょう」
(このことをファニーが知れば、私に対する好感度も断然アップするわね)
内心そんなことを考えていたが、そんなことおくびにも出さず市長との会談を終えた。
その後市長はクライフ総督の説得にあたり、ドーリス騎士団の退去を求めた。
クライフ総督もこれ以上隣国とのトラブルを続けたくなかったのと、フローラ姫よりファニーを助けろという要請もあったのでこれを了承した。
そのころファニー達は、市庁舎の喫茶室でお茶を飲みながら今後のことについて話していた。
喫茶室には職員は誰も居らず、ファニーたちの貸しきり状態にあった。
「つまり、それさえあれば大幅に時間を短縮できるのですね」
ファニーから良いものについて聞いたアンナは喜びの声をあげる。
時間を短縮できれば、ファニーを危険な目に合う可能性も防げるのだ。
しかし、それとは対照的にティーエは渋い顔のままだ。
「ですがその良い物とはトルシアにあるのでしょう。トルシアは今は魔王の支配下にあります。それにトルシアはトゥルーズ地峡の向う側、そう簡単にいける場所ではありません」

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