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デッドエンド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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デッドエンド 118

あのとき。出会ったばかりのあの日。
リオンに冷たい人だと言われ、その後すぐに謝罪された。傷つけたから、と言って。
傷ついたつもりはなかった。けれどあの謝罪は、確かに私の胸に響いて、私の胸にあった空洞を埋めたのだ。

なるほど。ようやく腑に落ちた。
リオンがなぜ私に構うのか。いつまでも付いて来て、助けたがるのか。やっと。

こんな顔を見せられて、放っておけるはずがなかった。

「すまない」
言いながら、私は思わず、リオンの顔に手をのばしていた。
頭を引き寄せると、抵抗せずに背をかがめてくる。息が触れるほど近づいた。
「…許して」
心の底からの謝罪の言葉だった。
凍りついた表情が、とまどうようにかすかに揺れた。

相変わらず、きれいな顔だと思った。
形のよい眉、通った鼻梁、長い睫やなめらかな顎の線に、まだわずかに幼さが残っている。
深い、明るいくれない色が私をまっすぐ見つめていた。

どちらから、というわけでもなかった。
動いたのはリオンだが、私もそれが当然のように目を閉じていた。
唇が触れ合った。

軽く触れ合ったと思うと、ちう、と音を立てて離れる。
どこか、おびえてでもいるかのようなリオンの表情がおかしくて、私はくすりと笑った。
「クリス、」
リオンは何か言おうとした。ぱくぱくと、幾度か口を開閉して…結局、閉ざした。
ぐい、と肩をつかまれ、引き寄せられる。反射的に抵抗しそうになった自分を、必死で抑え込んだ。
強い腕に抱かれる。密着する体に、互いの鼓動が早まるのが聞こえた。
「あ…背、」
「?」
「背、少し伸びた。…リオン」
抱きしめる腕が熱い。
肩口に頭がすっぽりと収まって、なんだかひどく、自分が小さくなった気になった。彼の背に腕をまきつけると、服の下で緊張する筋肉を感じた。
くちづけが降りて来る。
今度はそのまま、リオンの舌が唇を割り開いて忍び込んでくる。力を抜いているつもりだったが、抱きつく指先に、知らず力がこもった。
多分におそるおそるではあるが、舌を動かして応えてみる。リオンの背がびくりとこわばったのがわかった。
だがひるんだのはほんの一瞬のことで、すぐに舌が私の舌先を追ってくる。
深い角度で唇が重なり、舌先がからみつく。口腔内を熱く這い回る。幾度も。幾度も。
舌をしごかれ、きつく吸われる。息苦しくて、閉じたまなじりに涙がにじんだ。
「…ぅ、っ…」
リオンの手が、背から腰裏を撫でた。つかんで圧迫するように、少し強く。
同時に、ちゅる、とすするような水音を立てて唇が離れた。深く息を吐く間もなく、耳朶に、首筋に口づけが落とされる。
「ふ、ぁっ…」
体を支えるために背に回した手が勝手に、すがるように彼の服をつかむ。

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