鬼畜な魔王と女勇者達 1
勇者
勇者と聞けば大抵は魔王を倒す、勇ましい人間の事だと思い浮かべるだろう
しかし、それは違う
誰が好き好んで魔王何かと戦いたいものか
確実に死んでしまう
人間と魔族ではチカラに差がありすぎる
だが、やらねばならない
エミラは左手の甲を見る
紫に光る呪い
そう、勇者とは僅かな可能性にかけた人間により、無理やり魔物を退治する事を余儀なくされた、呪われた生贄の事だ
ゲームとは違い
勇者だからといって強い武器を装備している訳でも、魔物を一撃で倒す魔法が使えるとも限らない
少なくともエミラには強い剣を振る力も強い魔法を出す魔力もない
完全に魔のモノのご機嫌をとる為の生贄だ
どうしよう……
エミラは仕方なく村から旅立ち魔王退治に向かう
貧相な村の為、武器を買う金もなく
ボロボロのシャツにズボン
ばっとみ、スラム街にでも居そうな雰囲気だ
今年で17歳だが、色気はなく
髪はボサボサ
1番弱い魔物に勝てるかも分からない感じだ
防具はおろか、まともな武器さえ持たされていなかった。
薪を割る鉈や斧どころか草を刈る鎌すらこの村では貴重で持ち出させてくれなかった。
代りに薪にするには燃え辛く、加工するには硬すぎて木材にするには細すぎる木を荒く削った木刀が渡されただけだった。
木刀としての形を成すのも厄介なほど木は硬く、子供が作ったような歪な形であった。
せめてもと先端だけが鋭く削られていた。
柄の部分は滑り止めに朽ちかけた荒縄が撒きつけられていた。
「はぁ…。これならゴブリンやコボルトが持ってる錆びた剣の方がまだましだよ」
手に持って動くには歩きづらいので腰紐に挿し落とした。
村の周りで頻繁に見かけるそれらは個々の力はエミラの力でも勝てるだろうが群れで動くので迂闊に手を出すと返り討ちにあう。
それにもし負けたとしたらどんな目に合わされるか。
エミラを巣にお持ち帰りされて雌としての価値を見出されたなら慰み者にされるかそれ以下なら家畜の餌にされるだろう。
夜も明けきらない街道を取り合えず街に向かって進みだすが、路銀も食料もなしで進むエミラはどこか幽鬼のようにふらついていた。
「ほぉ…その呪いお前が今回の勇者か」
「なに…!?」
エミラの目の前の空間が突如として歪む。
歪んだ渦の中から人影が現れる。
徐々に輪郭がはっきりしていく人影。
だが、それははっきりしていくにつれ、人とは言えない形である事がわかっていく。
大きな身体、頭には2つの角、そして背中には悪魔の翼が生えていた。
それは何度となく、話しに聞いていた魔王の姿だった。
「ひぃ…!」
「ふん……人間共め、またつまらぬ奴を寄越しよって」
いきなりのラスボスとの遭遇に、エミラは腰を抜かす。
絶望するエミラとは対照的に、魔王は落ち着いた態度のままエミラを見下ろし、そして落胆した。
「なんと貧弱な小娘だ…これでは余興にもならんではないか…」
つまらないモノを差し出された魔王は肩を落とし考え込む。
そして、一つの考えを思いついた。
「……今回の勇者は3人それも皆、女。
どいつもこいつも貧相な身体で、そのままでは何の楽しみにもならん。
故にお前たちにチャンスを与える。
この装備品をくれてやろう。
そして、このまま町へ行き、他の勇者と合流しろ。
俺が楽しめる勇者に成長してみろ」
魔王はそう言うと、エミラのみすぼらしい服に魔法をかけ、ビキニアーマーへと変化させた。
ビキニアーマーはエミラの身体を包むと、突き刺さるような刺激を胸と股間に与えてきた。
「ひぃやっ!!」
痛みにエミラは悲鳴をあげる。
「ちょっとした成長促進の刺激だ。
女として楽しむにしても、もう少し起伏が欲しいからな」
痛みは直ぐに退いたが身体の熱は取れずエミラは悶える。
そんなエミラの姿に満足した魔王はエミラの木刀を真剣に変えると現れた時と同じように空間を歪ませ姿を消した。