妹(スール)は男の娘!? 13
確かに恥ずかしいけど、モリマンという噂は予防線として機能するし、お茶に精力剤的なのが混入もブラフで俺に自ら言わせたかったのだろう。
それでも、スカートが長いのをいいことにお手入れを怠ってるはしたない新入生と思われてしまった。
でも、残念な美人の恵里さまだけでなくクールでさっぱりしたタイプの恵さままでグルとは、他の姉妹は夢にも思わないだろう。
動機は気まぐれ程度でおそらく俺も変わり者に分類されるけど、様々な面でこれからフォローが得られるのは立場的に非常に心強い。
「お姉さま、これ…もらっていいですか?それ、捨てていいですから」
「ダメよ、甘えないで」
「え〜!」
「翼ちゃん、ちゃんと返してね」
「そうよ、その代わりに…今度一緒にお店に行って、私達の妹にピッタリなのプレゼントするから」
もし恵さまが心変わりしてやっぱり高校生だからこういうことは良くないと言われても、
思い出の品があれば、女装して三年間という苦行も耐えれるかもと思ったけど、恵さまもお気に入りだったみたいで却下される。
妹になったからには逆らえない。歩に男のばれたと報告しないで済んだだけで感謝すべきなのだろう。
でも、恵里さまからお誘いの声がかかる。ランジェリーショップなんて初めてだ。
「すぐにでもと言いたいところだけど、新入生はいろいろ大変でしょ?だから、今度の日曜日ね」
「まあ、それまでに私達の妹って噂広げるけど」
「なにそれこわい」
プライベートで買い物となれば、私服での女装となるし、妹らしさが問われる。
今までの服装は通用しないし、歩のレベルでは妹になれない。
「女子校よ、ここは」
「ところで、服選びが難しそうで…」
「そうよね、翼ちゃんの場合…二重の意味でね。異性だし、鳳桜っぽくしなきゃ」
「だったら、着ないで置いてる服あるから。あげていもいいやつね」
「恵さま!助かります」
「妹を導くのが姉だからね」
…最初は正直どうなることかと思った。
恵さまも恵里さまも性格嗜好はアレかもしれないが基本的には優しくていい先輩なのだ。
清く正しく美しく、なお嬢様女子高にこうしたフランクな方がいるのも心強いかもしれない。
「じゃあ今度の日曜日ね。それまでに服用意しておくから」
「ありがとうございましたお姉さま…ごきげんよう」
この日はお二人とはここで別れ、一人で帰宅した。
日曜まで少し日数があるが、生徒会は放課後に必ずかっちり活動があるわけでもなく、
昼休みに姉妹でいることが多い。
居候してる都合で登下校は歩と割と同じだけど、一人よりは安全というレベルでしかない。
お二人が食堂なので、俺まで弁当を入手する心配はせずに済んだ。
妹であると同時に一年だし、秘密を守ってくれてるし、エッチだけど優しいから自ら進んで
パシろうとしたら自分たちはまとめ買いしてるという用意周到さで、自販機の前に並んだり
イライラしないという優雅な学園生活の秘訣を会得している。
俺も食券をまとめ買いすることにしたが、結局二人を待たせてしまう。
多少スキンシップはあるが、女子校では特別なことでなく、会話も同級生と群れてても
得られない情報もかなりあって、礼儀についても教わった。
男の先輩から礼儀を教えてやると言われたら、正直ちびりそうだけど、お二人は丁寧で、
お嬢さまことばなるものの一部を教わった。
まだ失態は演じてないが、ごめんねやすみませんでは論外で申し訳ございませんが常識らしい。
ありがとう存じますや恐れ入りますを違和感なく用いれなくてはならないそうだ。
最近は趣味の多様化で、女子でも少年漫画を読んだりゲームをすることは女子校だろうと
特別ではない事には感謝してる。
ただし、楽しみ方が少し違って男性キャラへのあこがれや男同士のカップリングという
俺から見たらおぞましい話題も珍しくないが、そこは同級生に怪しまれてはいけないので適当に流すようにした。
男性アイドルのファンもクラスに居るものの、興味が無いというスタンスでいる。