PiPi's World 投稿小説

106号室の多田くん
官能リレー小説 - 脅迫

の最初へ
 -1
 1
の最後へ

106号室の多田くん 1

ついに追い詰められた。
多田は窓から外を見回した。
団地を囲むように複数の人間がうろついている。野球でもしようとでもいうのかバットを持ち歩いているのも一人や二人ではない。
「こ!殺される…」
多田はこんな時でも掲示板を荒らして平静を保とうとした。
銃やドスを持っているヤクザもいる。
電気を消して部屋のカーテンも全部閉めた。
「お前、何やらかしたんだ?」と聞かれ、
ネット仲間に状況を説明したら、
「バカじゃん」とか、「ざまぁ」いろいろ言われた。

更にそれに逆上する多田。
団地は余計に取り囲まれることになった。
悲惨なのは無関係なのに取り囲まれた団地の住人だ。追い詰められた住人の一人がついに錯乱を起こし、包丁を振り回しながら飛び出してきた。
205号室の主婦だ。無関係の人物が襲いかかってくるのは計算外だったらしく周囲のヤクザはどよめいた。
だがその程度は問題にならず、騒ぎを嫌ったヤクザに押さえつけられ車で連れていかれた。
その光景に通報を考えていた住人も関わりを避けて引きこもった。 
その後も多田はひたすら掲示板を荒らし煽り続け、息を潜め続けた。
痺れを切らした主婦や老人が錯乱しては拉致され、保護者のいなくなった子供たちも泣きわめいては連れ去られた。
日が暮れれば学生や旦那も帰宅し始め、ほとんどは遠巻きに見ていたが何人かはヤクザに絡んで拉致されていた。

多田は薄暗い中湯を沸かしては、溜め込んだインスタントで腹を満たす。
普段は家族団らんがうるさい団地も静まり返り、ただヤクザやチンピラの気配だけが満ち満ちている。
掲示板によると河原や山林にボロボロの老若男女が転がされていたり、子供や女性の嬌声が近くのビルから聞こえたりと、地味な騒ぎが広がってるらしい。
それでも多田は息を潜め、ただただ嵐が去るのを待ち続けていた。


,
の最初へ
 -1
 1
の最後へ

SNSでこの小説を紹介

脅迫の他のリレー小説

こちらから小説を探す