女嫌いが女になったら 48
『私は何も見てません。ただ、妙な子ウサギが自慰に耽っていただけ。』
数世のその言葉に、二人は再び顔を見合わせ、ぷっと吹き出す。
『すまない。借りは必ず返す。』
北条は軽く会釈し、和菜をおんぶして行く。和菜は黙ったままである。
数世がモップを持ち、ロッカールームに入ろうとした時、和菜がそっと呟いた。
『ごめんなさい。それと・・・ありがとう。』
数世は気付かない振りをして、静かに微笑んだ。そしてロッカールームの掃除を始める。
『姉弟・・・か。・・・ってか臭いし!!笑えな〜い!』
床に付いた精液や愛液をモップで掃除する。どこぞの痴漢電車のような展開に、ぶつぶつ言いながら作業する数世。
その頃、あの姉弟は。
『なあ、姉さん。俺、謝ってみようと思うんだ・・・両親に。』
『純・・・。』
思いがけない弟の一言に、涙を零す和菜。北条はそれに気付くよしもない。
『許してくれるかな?』
ありがとう、数世さん。ふと心の中で呟く。そして和菜は答えた。
『許してくれるよ、絶対。』
このお人好しエピソードの裏で、あの子ウサギが数世の手によって校庭の木に吊されているという事は、誰も知らない。
再び話は放課後……
数世のバイトを見届けた小百合に、伸一郎からメールが届いた。
『至急来て欲しい』
何時も要件だけで短い伸一郎のメールだが、何か今日の場合はメールからもひっ迫感があった。
不安を覚えた小百合だが、数世はバイト中だし弘美とは別れていた……それを分かっていて伸一郎も小百合にメールを送ったのだろうし、小百合にとっても伸一郎は親友である。小百合は急いで伸一郎の家に向かったのだ。
相変わらず自動で開くドアに慣れぬ小百合だが意を決して伸一郎の家に上がる。
「お邪魔しまーす」
伸一郎以外誰もいない事は分かっているが、几帳面に言う辺りが小百合である。
そして、伸一郎の部屋の前に立つとドアが独りでに開き……中を見た小百合は驚いて目を見開いた。
中にいるのは美しい女性。長い髪を無造作に後ろで纏めた女性は、切れ長の美しい瞳を小百合に向ける。
白く端麗な顔つき、キツめの表情が美しさをさらに強調していた。
170pを超える長身 の割に小さなTシャツは大きすぎる膨らみにロゴが凶悪に歪まされ、ブラをしていないせいで乳首や乳輪がくっきりと浮かぶ。
上背と爆乳のせいで上に引き上げられたTシャツの裾から臍が覗く。
鍛え上げられた腹筋に細いウエスト……胸は羨ましい程豊かなのに、そこには一切無駄な肉が無い。
そして、ジャージのズボンの上でからも分かる、ボリュームがありながらもキュッとつり上がった美尻とスラッと長い脚。
見事なプロポーションの美女に、小百合も思わず見とれてしまった。
「小百合さん……」
「伸一郎……くんなの?」
小百合の問いに美女は頷く。