朝、目が覚めると……… 47
小柄な身体に柔軟かつ強靭な筋肉に覆われた女の子らしくない身体から、柔軟かつ強靭な筋肉は今の蓮の美しさを引き立てる要素にすらなっていた。
飛鳥がモデル的な美しさなら、蓮はアスリート的な美しさと言った所か。
鏡越しに手渡されたフレイは、小瓶に入った淡紅の血に満足する。
「うん、これでいいわ。これで契約の履行よ…ありがとう〜」
「…こちらも感謝するわ。あ、そうそう、貴女のお名前は?」
時折体を捻り自分の姿を確認しながら、蓮はフレイに質問する。
「フローラル・アルスター・グラディス。フレイでいいわよ…またお会いする事になるけどね」
「また…って?」
意味深長な言葉を残し、徐々に鏡からフレイの姿が消えていく。
「あっ!まだ答えてないじゃないの!答えてよ!」
「ふふっ…そのうちにわかるわ。蓮ちゃん、またね〜バイバイ〜♪」
フレイが完全に消えた後、蓮は暫らくの間姿写しの鏡の前に立っていた…
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飛鳥さんは俺の体に寄りかかりながら腕を回してきた。
「帝ちゃん…」
「あ、飛鳥さん…どうして…?」
心臓の鼓動が早まっていく。
「帝ちゃん、真由と留奈ちゃんを…抱いたわね」
その声は悲しげ、というよりも悔しげな響きを持っていた。
「えっ!どうして知っているんですか!?…ぁ」
あぁー!!俺の馬鹿!馬鹿!自分で白状してどうすんだよ!
「ふふっ、真由も随分と積極的になったわね〜。姉としては妹の成長は嬉しいけど…少し悔しいかな?」
「えっ、それってどういう…」
俺は背中に抱きついたままの飛鳥さんの方を振り向こうとして止まった…止まらざるを得なかった。
「帝ちゃんの初めては私が貰う予定だったんだけどなぁ」