便女当番 1
俺は矢住 健人(やずみ けんと)、高校二年生。
一歳年下の妹、愛美(まなみ)と共にここ、星光高校に転校して来た。
休み時間、廊下を歩いていたら男子便所の中から女子の喘ぎ声が聞こえてきた。
「…アッ!…アッ!…アンッ!…アッ!…アァッ!…」
俺は驚いた。
「マ…マジかよ…!?」
そっと覗いて見たら一人の女子生徒が4〜5人の男子に囲まれて犯されていた。バカップルが休み時間に一目を忍んで愛し合っていると思っていたのだが、ちょっと様子が違う。
「まさか…レイプ!?」
「よぉ、矢住!な〜にコソコソ便所覗いてんだよ?」
「あ!お前確か同じクラスの…」
「田中だよ」
「田中!大変だ!男子便の中で女の子が輪姦されてるんだ!」
「あ、そっか…お前、転校生だから知らないんだっけ、便女当番…」
「便所当番?」
「便女当番だよ。いや、この学校独自の文化っつーか風習っつーか…」
田中の話によると昔この学校では男子生徒による女子生徒へのレイプ事件が多発していたらしい。
それは他校の女子生徒にまで及び、深刻な問題となった。
そこで当時の生徒会は苦肉の策として、男子生徒の性欲処理を担当する女子生徒を当番制で任命する事に決定し、学校側もこれを黙認した。
この当番は毎日ローテーションで、主に男子便所をその行為の場としたため“便女当番”と呼ばれ、今日まで脈々と受け継がれてきた。
「そんな馬鹿な!冗談だろ!?」
「本当だよ。お前もやってみれば解るって!」
そう言うと田中は俺の背を押し、そのまま二人で男子便所に入って行った。
田中は輪姦しているメンバーに声を掛ける。
「お〜い!次、この矢住にやらせてやってくれよ。こいつ転校して来たばっかで、まだ便女当番知らねえんだ」
するとみんな口々に言った。
「おう!そんならOKだぜ」
「矢住だっけ?良かったな〜、こんな良い学校に転校して来れてよ〜。なんてったって便女当番の女子は犯し放題なんだからな」
「そうそう、マジでこんな学校、日本中…いや、世界中どこ探しても無いぞ」
俺はおずおずと口にした。
「あ…あのさ…俺、実は…その…初めて…なんだけど…」
「マジ!?」
「うん…」
「気にすんなって!俺も便女で童貞捨てたし」
「あ!俺も俺も」
「良いじゃん良いじゃん、便女はノーカウントだって…うっ!」
便女当番の女の子を立ちバックで犯していた男子が腰の動きを止めて射精した。
少し立つと、男子は萎えたチ○ポを女子から抜き取った。女子のマ〇コから精液がどろりと出てくる。
おかしなことになってきた。俺だって童貞のままでいたくないが、初めてはもっと、こう、ムードのある場所でやりたかった。
「待ちたまえ!!」
その時、後ろから男の声が聞こえた。田中や輪姦していたメンバー、そして俺が振り向くと、そこには三年生の男子がいた。左腕には見慣れない腕章が巻かれている。
田中は、その顔と腕章を見てギョッとする。
「せ、生徒会長!!」
どうやら、俺達の目の前にいる白い肌と長い睫毛の優男が、この星光高校の生徒会長……便女当番なんてものを作った集団のリーダーらしい。
「転校生に便女のことを説明するのは転校初日の放課後であり、それは俺たち生徒会の役目だ」
「そ、そ、そうでした」
田中も輪姦していたメンバーも、先程までのニヤケぶりが嘘のように畏まっていた。
「わかったら、彼に便女をすすめるのはやめろ」
「はいっ!!」
そして生徒会長は、俺に目線を向けてきた。
「放課後に自己紹介するはずだったが………まあいい。俺は生徒会長で3年2組の須川 摩耶(すがわ まや)」
「は、はじめまして。2年1組に転校してきました、矢住 健人です」
「うむ。矢住 健人くん。ご苦労だが放課後に生徒会室へ来てくれないだろうか。なに、都合よく生徒会役員の一人が君と同じクラスだからね。彼女に案内してもらいなさい」
「は、はあ………」
「では、放課後に」
そう言うと生徒会長は立ち去っていった。俺と田中と輪姦していたメンバー、そして輪姦されていた女子は呆然としたまま、男子便所に取り残された。
六限目が終わった後の掃除時間、俺は田中ほか一人の男子、三人の女子と一緒に非常階段を掃除していた。
「生徒会のことを知りたいって?」
俺はホウキを持ちながら、田中と話す。
「ああ。放課後に顔合わせるんだから、少しは知っとこうと思ったんだ」
「まあ、俺も全て知ってるわけじゃないけど……」
田中の話しでわかったのは、生徒会長と副会長が兄妹ということ、メンバーは総勢十人であること、そして……便女当番の活動は生徒会が管理していることだ。