私たちの裏リーグ開幕戦は第二戦の千葉だった。第一試合六人ダックマッチ十五分一本勝負である。宮間先輩や牧生先輩が卒業して前座レスラー最年長になった島山さおりのチーム野崎チームを倒してまず一勝した。たった1分55秒で菊地が関山をフォールした。
千葉でのメインイベントは彩子お姉様がベルトを持つ六人ダックマッチの防衛戦だ。今回の防衛戦の挑戦者チームの一人に牧生陽子先輩が抜擢された。彩子お姉様は元付き人との対戦である。
いよいよタイトルマッチが始まった。チャンピオンチームの先発は彩子お姉様だ。挑戦者チームの先発は過去三度世界チャンピオンになった今年キャリア十二年目の伊藤咲枝である。
彩子が最初付き人をしたのが伊藤咲枝であった。伊藤は三度目の世界王者から脱落後半年アメリカへ行っていた。北海道最終戦のセミファイナルで復帰したばかりだ。
伊藤先輩は彩子お姉様にレズ道を教えた間柄で、彩子お姉様が尊敬する相手だ。
寝技テクニックに優れているだけじゃなく、レズのテクニックも凄いと彩子お姉様には聞いた。
それだけに、闘う彩子お姉様の気合いは試合前から凄かった。
それにタッグベルトを失って悔しい思いをしたのもある…彩子お姉様は開始と同時に果敢に伊藤先輩に突っ込んでいく。
それをいなすように伊藤先輩はカニ挟みで彩子お姉様を倒し、レッグロックで脚を責める。
伊藤先輩得意のパターンだ。