息子と同い年に 1
前日に製薬会社を立ち上げたばかりの高校の頃の後輩に貰った薬のおかげか、
「妙に軽くなった気がするな。」
洗面所でふと鏡を見ると、
「どういう事なんだ…」
あんなに弛んでいたお腹が真っ平らになって、
顔つきも引き締まったものになっており、
「父さん、静かにして…」
息子の裕真が起きてくるのだが、
「本当に父さんなのか?」
裕真が驚くのも当然だ。自分の父が自分と同い年になったのだから。
「どうしてこうなったのか…もしかしたら、あの薬のせいじゃ…」
突然、扉を叩く音がして、裕真が扉を開けると、
「もしや先輩もと思ってましたが…」
「お前、明なのか?」
我々の目の前にいる明は14、15歳ぐらいに見えず、体つきも華奢になっており、
「こうなるのは想定外でしたが、昇先輩が本来あるべき姿を取り戻してくれて良かった。」
「僕は裕真ですよ。」
すぐに裕真から離れ、
「ごめん。双子でも通用するくらい、そっくりだったから・・・その点はあの女に感謝しないと。」
明は亡き妻にして裕真の母でもある涼子を目の敵にしていたのを思い出し、
「どうして涼子を嫌うんだ?」
すると裕真が、
「父さんが太ってきたのって、母さんと出会ってからでしょ?」
「どうして急にそんな事を・・・」
確かに涼子の料理は油っこいものが多かったが、
「裕真君、その通りだ。」
すると明は裕真の服を捲り上げ、
「先輩も部活一筋で頑張っていた頃はこんなお腹だったじゃないですか。」
「明さん、離れて下さい。」
「裕真君、ごめん。君があまりにもあの頃の先輩にそっくりだから・・・」
戸惑う裕真に、
「裕真、明も悪気がある訳じゃない。それより早く出かけなさい。」
「わ、分かったよ。」
裕真が出かけた後、
「裕真君、好きな女でもいるのかな?」
「おい、お前には俺がいるだろ。」
明を抱き締めると、
「先輩も気持ちのあの頃のように・・・」
「そもそもお前をこんな性癖にしたのは俺だからな。」
「じゃあ早く先輩のでお願いします。」