栞の手記
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待ち合わせ場所は、T駅の近くの古びた喫茶店だった。 デパートが立ち並ぶ大通りを抜けて、 裏路地にその喫茶店はあった。 喫茶店の茶色の扉を想い出すと、すぐに行けるような気がした。 何度も迷いながら、その喫茶店で、あの人と待ち合わせした。 いけないことだと分かっていたけれど、 こんなこと止めたいと思っていたけれど、 でもあの人からメッセージがあるとあの喫茶店に行ってしまった。 でも、今日は違う。 「ごめんなさい。やはり今日は会えません。」 そうやっと言えたのだ。 私の本名も住所も知らないのだから、 もうあの人の力を駆使したって、私を探すことなんてできない。 喫茶店を見て、すぐに帰ればいいんだ。 それから、ずっとメールを無視し続ければ、 あの人だって諦めてしまうに違いない。 そうすれば、私は自由になる。こんな気持ちに苦しまなくなる。 もうどうせ待ち合わせ時間は過ぎているし、 いつもとは違う道を通れば、T駅に向かうあの人には会わない。 そして、喫茶店を見て、あの人が居なさそうだったら、 珈琲を飲んで、さっさと帰ればいいんだ。
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