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続・聖夜
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続・聖夜(後編)-9

麗子さんへの愛が烈しければ烈しいほど、神の前で自分を苦しめ続け、それでも私は彼女への愛
をしっかりと抱き続けなければならないと思っていました。そして、麗子さんの婚約を知りなが
らも、彼女とからだを交わした私は、あの湖に身を投げたのです。

でも、主は、私を死へ導くことはありませんでした…。

そして、私は、すべてから逃れるために日本を離れ、イタリアのこの修道院にやってきたのです。


私は、日本から遠く離れたこの修道院で、麗子さんがクリスマス・イブの夜に、天に召されたこ
とを知りました。私は虚脱感に襲われ、止めどもなく流れ続ける涙とともに烈しい嗚咽を繰り
返しました。地面にうずくまり、主への祈りを続けながらも無力だったのです。

麗子さんをどうして救えなかったのか…私はただ自分の無力に自らを責め続けました。それでも
神は沈黙を続け、私に手を差しのべてくれることはありませんでした。私は神の前で、自らの
からだを鞭打ち、懺悔を繰り返し、苦しみの日々をここですごしたのです。


日本を離れてから、数十年、私はどうしても麗子さの墓碑に祈りを捧げたかった。そして日本を
訪れたあの日、偶然にもあなたと出会うことになったのです。


あなたとの地下室での出来事のあと、この街に戻った私は、あなたの生い立ちについて密かに
知ることができました。そして、あなたが私の実の娘であることを確信しました。聖職者であ
りながら、私は自分の罪と嫌でも向き合わなければならなかったのです。

いや…むしろ私は、美しい麗子さんの幻影であるあなたに、どこか、瑞々しい泉が湧き出るよう
な愛を懐かしく感じることができたのです。それが罪なのか…毎日のように私は神に烈しく問い
続けました。


そして、あの日… あなたと出会ってから、一年後のクリスマス・イブの夜でした…。


私は、聖夜の空から降りそそいだ光に、突然包まれました。その幻のような澄みきった光に包ま
れたとき、私はまるで何かの呪縛から解き放たれたように、麗子さんを強く感じることができま
した。

麗子さんの声が聞こえたような気がしたのです。いや…それは、神の声であり、愛おしい麗子さ
んの声そのものだったのです。


…あなたの愛がとてもうれしかったわ…わたしは、あなたの愛に深く抱かれたことに、何の後悔
もしていません…ほんとうに感謝しています…だから…だから、どうかわたしへの愛のために
苦しまないでください…


そのとき、私の中の麗子さんとの遠い記憶は、オーロラのような七色の光のカーテンにあざやか
に彩られ、無数の星の煌めきに祝福されながら、果てしもなく広がる聖夜の空へと私を導いてい
きました。

茫然として地面に跪いた私は、今まで感じたことのない神の愛を、深い歓喜として受け入れるこ
とができたのです。



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