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非線型蒲公英
【コメディ その他小説】

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非線型蒲公英-47

「…ん…ここは…?」
 目を覚ました俺がいた所は、アパートの共同ゴミ捨て場だった。
『あ、気が付きましたか!? 命の恩人さん!!』
 誰だろうか、腹の上から声がする。
「誰だ…?」
『いやぁん、ここですよ!! ほら、お腹の上に乗ってるでしょう?』
「ぼ、棒…?」
 鉄の棒だった。気を失う前、一瞬だけ見た気がする。あと、他にも色々と見た気がする…が、よく思い出せない。
「棒が喋ってるのか?」
『ハイ!! そうですけど、『棒』なんて言わないで!! 出来れば『ヘクセン』って呼んで下さい、恩人さん!!』
 喋っていること自体はそれほど気にならなかったのだが、何かが引っかかった。
「…って、コレ…というか、キミ…ヘクセンは、俺の姉さんが作ったのか…?」
 こんな奇妙なもの、姉さん以外に作れる奴がいるとは思えない。
『え? 姉さんとは? それは琴葉様の事ですか?』
「やっぱりそうか…相変わらず変なモノ作るなぁ…姉さんは」
『琴葉様を姉さんと呼ぶ貴方は弟様ですか!? なんとまあ!! でも、変なモノ扱いは酷いですよ!!』
 AIなのだろうか、相当高度な会話が出来るようだ。まあ、姉さんが作ったものだからな…。
「で、それはともかく、何で俺はこんなゴミ捨て場に…?」
『ええとですね…マスターが弟様をぶん殴って、気絶させて、ここまで運んできて、ポイっと…しかも私ごと!! あああ、捨てられた、ついに捨てられた!!』
「マスター…って、誰?」
『宍戸妃依様ですよ!! あああう!! 酷い御方!!』
「ああ…何となく、隠したかった理由は解る気がするな…」
 姉さんが作って、ひよちゃんがその持ち主になっていたという事が、昨日の事と何か関係あるのだろう。
『ああ!! 出来れば弟様に拾って頂きたいんですが…というか拾って!! 置いていかないで!!』
 姉さん…一体何がしたくて、こんなモノを…?
「あー、はいはい。解ったから黙ってくれ…そして、今何時か教えてくれ…」
『ありがとうございます!! 弟様!! 時間ですね!? お安い御用!! 衛星通信システム搭載の私にとって、時刻を調べる事なんて朝飯前ですよ!!』
「能書きはいいから、何時なのさ」
 そういえば…今の俺を傍から見たら、ゴミ捨て場に座って一人で喋っているように見えるのだろうか。かなりイヤだ…。
『は!! ええと、10時24分32秒です!! おお、なんて優秀な私!!』
「10時過ぎたのか…はあ、なら帰るか」
 立ち上がり、尻をはたく。立ち上がったために、腹の上で騒いでいたヘクセンが地面に落ちた。
『いやあああっ!! 用済みですか!! 私は用済みですか!? 『置いていかないよ…馬鹿だな…』って、あの言葉は嘘だったんですかぁ!! 甘い言葉に騙された!! 呪ってやる!!』
 これは…置いていったら、ホントに呪われそうだな…。
「分かったから…持って帰るから、ホント、黙ってくれ…怪しまれてしまう」
 コレだけ騒げば、誰かが様子を見に来てもおかしくは無い。俺は、ヘクセンを掴むと、ゴミ捨て場から早々に立ち去った。


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