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逃げる俺、せまりくるメス
【コメディ その他小説】

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逃げる俺、せまりくるメス-1

ある日のこと。俺は、血液検査を受けに病院へ行った。この頃、花粉症気味で、この前病院に行ったら血液検査しろと言われたのである。で、今日は暇だったので、さっさと終わらせようと思って来たのだ。
実をいうと俺は大人のくせして注射が大嫌いだ。ただ、花粉症があまりにも辛いので、しぶしぶ来たのである。
俺が病院に入っていくと、見知らぬ看護婦に呼び止められた。
「あら。秋野さんじゃありませんか。」
「…はぃ?」
ちなみに俺の苗字は田中だ。平凡すぎて泣ける。
「あなた、なんでこんなところに?まぁ〜た抜け出したんですね!?」
「えっと…人違いじゃ…?」
俺はしどろもどろになる。突然見知らぬ看護婦に「秋野さん」扱いされたんじゃ困惑するのも当たり前だ。
看護婦はみるみるうちに目を吊り上げた。
「もう、困りますよ、勝手に抜け出されたんじゃあ。だいたい今日は手術の日じゃありませんか。」
「はっ、手術!?そんな俺はただ血液検査を受けに…」
そこから先は問答無用だった。その大柄な看護婦は馬鹿力を発揮し、俺の口を押さえて、軽々と持ち上げて歩き始めたのだ。
「んーっんーっ」
「はいはい、静かにしてくださいね。他の患者さんに迷惑ですからね〜」
俺は頑張って抵抗を試みた。しかし、いくらボカスカやっても、看護婦はその脂肪の厚さゆえか何も感じないようである。のんきに鼻歌など歌われては自分がかなり情けなくなってきた。喧嘩はあまり強くないからなぁ…。しかし、真の恐怖はまだまだこれからだったのだ。


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