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続・聖夜
【その他 官能小説】

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続・聖夜(前編)-3

―――


週末の夜も更け始めた頃、いつものようにネットの投稿小説を書くために、パソコンに向かって
いた私は、いつのまにか眠り込んでしまったようだ。

ふと眼が覚めた私は、深夜のマンションのバルコニーに出てみる。いつのまにか降り出した雪が、
漆黒の天空に舞い、冷たい暗闇を斑に塗りつぶしていた。凍てつくような冷気が、火照った私の
肌を心地よく撫であげる。闇と雪が織りなす幻想的な模様が、寂寞とした街の光芒に音もなく吸
い込まれていく。

私は、いつものように煙草に火をつける。今年もまたクリスマスをむかえようとしていた。

二週間ほど前に、私はあのサナトリウムを久しぶりに訪れた。いや、サナトリウムを訪れること
が目的ではなく、近くの教会の墓地に眠る母麗子と、父であって実の父親ではないK…氏の墓碑
を訪れるためだった。時期は違うが、ふたりはクリスマス・イブという同じ日に、天に召されて
いった。

そう言えば、ふたりが亡くなったそれぞれの夜も、こんな雪が津々と降り続いていたような気が
する。



煙草の煙が、深く穏やかに肺の中に滲み入るのが心地よかった。

こんな雪をながめるのは何年ぶりだろうか…。
別れた恋人に、いつだったかこんな雪の夜に背後から包み込まれるように抱擁された記憶が、
私の脳裏に淡い残照のように残っていた。背中を彼の胸にゆだねながら、この雪の夜をふたりで
眺めたはずなのに、その雪のほのかな煌めきの美しささえなぜか記憶になかった。

ただ、あのとき頬に感じた彼の吐く息や耳朶をなぞる唇、乳房に触れる指の感触だけが、どこか
儚げに自分の中に甦ってくるような気がする。



看護師のユキオさんから、手紙がきたのは、私があのサナトリウムを訪れた三日後だった。
私は、十年ほど前に精神的な病気を患い、あのサナトリウムに入院をしていた。そのとき出会っ
たのが、看護師のユキオさんだった。私より二歳年下の彼は、私の病棟担当の看護師だった。


統合失調症…私もまた、母と同じように精神を病んでいた…。

不倫の恋人と別れてからというもの、私は毎夜のごとくうなされ、嗚咽と吐き気が交互に私を
襲い続けた。

私は不眠を繰り返し、睡眠薬を服用しても、お酒に浸っても、穏やかな眠りにつくことができな
かった。冴々とした私の中で何かが蠢き、渦を巻きながら私を断崖の際まで追い込んでくる息苦
しい脅迫観念に囚われ続け、やがてそれは溢れ出すような烈しい淫蕩へと変幻していった。


底なしの暗い沼に引きずり込まれる悪夢…いや、それは、私にとって狂気に充ちた性の倒錯その
ものだったのだ…。





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