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星物語
【SF その他小説】

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終わりの星-Earth--1

急勾配の坂は声もなく笑い
この世界の静けさをいっそう冴え冴えと響き渡らせる。

空も笑う。
何のために生きているのか分からずに、ただ生を求め
そして自ら散っていった、この地上の支配者達の魂に。

そして、この俺に。


『生きるのには意味があるのよ』

あいつはそう言った。
たとえ仮初めの命でも
そこにいる事に意味があるのだと。


人工皮膚の下にある機械の管を見て
何度壊れてやろうかと思ったことだろう。
その度にあいつはそういった。


自分もその命を作られた身でありながら。



『人から生み出された二つの命』
それが俺達が生み出された理由。

機械工学の結集である「人間に近い生命体」と
生命工学の結集である「機械に近い生命体」。

人が地下に潜り、求めたものは
「神になるための方法」だったのだろうか。


……いや。


人間は、神に救って欲しい一心で悪魔になった。
伝説の中で語られる堕天使のように。

そして終末の日が来る。
神の与えたもうた、最後の救いが。


地下都市の開発が進む中、大きな問題が持ち上がり始めた。
それは過去の地球において、地下はゴミ捨て場だったという事実の代物。

そして考えもしなかった事態が起こる。
開発班の一つが地下に埋めてあった、不発の核を発見。
<審判の日>の遺跡だった。
しかしその核は解除班の駆けつける前に爆発。

地下は、崩壊した。

『助からない』
そう確信した人々は皆
地表へと向かう。

未だ放射能の溢れかえる、『懐かしい』地表へ。

……人々はそして果てた。
放射能という自らを滅ぼす毒をもって
神の元へと旅立ったのだ。

そして、あいつも。


『私は……地表が見てみたい。そして星の見えるところに行きたい』

機械のように感情を作られていても
あいつは人間で。
人間のように知能は作られていても
俺は機械だった。


ひざをつき、空を見上げる。
雲にまた星は隠れ、闇が静かに辺りを包んだ。

コンクリートの隙間を見つけ、俺はそれを剥がしていく。
生き物のいない土は冷たく、さらさらと流れていった。

人工皮膚が剥がれ落ち、パイプがむき出しになる。
しかし不思議と嫌悪感はなかった。

見るたびに、消えてしまいたくなったあの時が嘘のように。

無心で掘り続ける。
土に埋もれた石は皮膚を突き刺し
作られた痛覚を刺激した。
それでも手を休めるわけには行かない。
掘り続けて、掘り続けて……

静けさの溢れるこの世界に
また、星の光が灯る。


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