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〈晩秋〉
【鬼畜 官能小説】

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〈晩秋〉-7

『スタンガンて十秒くらい放電しないと効果無いんだって』

『へえ。じゃあドラマとかのは嘘なのか……』


全く動けなくなるまで放電され、ようやく友紀の視界は開けた……自分の顔を覗き込む顔は皆、以前に見た事のある顔ぶればかり……料理教室の常連の男達だ。


『瞼とか唇とかも痙攣してるぞ。大丈夫なのか?』

『心臓も動いてるし息もしてるし、大丈夫だよ』


男が胸元に手を当て、心臓の鼓動を確かめているが、その無神経な手を退けようにも身体は動かない。
声すらも呻きにしかならない。
流れていく街の光を、ただ眺めているしか出来ない……。


(た…助けて……誰か助けて!!!)


他人の車内を覗く無礼者はいないだろうし、汚れた1BOXカーに興味を示す者もいないだろう。
たくさんの走行している車の中の一台にしか過ぎぬこの車を、止める奴などおるまい。


『今日もエロい服着てるなあ……』

『この痙攣してる顔、イキ捲ってるみたいで興奮するな。ウヘヘヘ』


見下ろしては嬉しそうにしている男達に支配された車内で、友紀は必死に起き上がり、逃げだそうとしていた。
暗いと言っても街中なら、人影はあって当たり前。
喚きながら車から飛び出せば、確実に多数の視線を集めるはず。

逃げるチャンスは今しかない。

街の明かりが友紀の顔を照らし、早く逃げろと囃し立てる……非情にも身体は言う事を聞かず、薄汚れた毛布の中で寝転がるのみ……街の光はやがて車窓から消え、暗闇だけが映し出されている……やがて信号までも無くなり道路は荒れていく………そして車は停車した。



『着きましたよ、先生』

「!!!!」


ここが何処か分かるはずもない。
辺りは漆黒の闇に包まれ、冷たい風に木々がザワザワと騒いでいる。
誰もいない地まで運ばれた事に愕然とした……。



『さあ、中に入ろうか?小さくて汚い家でゴメンね』

手首と足首を掴まれ、ブラブラと揺られて友紀が運ばれていく。
美しい服を纏った美しい女性が、物同様に扱われて古ぼけた家屋に消えていった。



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