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〈晩秋〉
【鬼畜 官能小説】

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〈晩秋〉-6

「あの、お気持ちは嬉しいですけど、こんなに……」


突然の、しかも大量の手土産に、友紀は喜びと戸惑いの表情を浮かべていた。
未だかつて、こんな贈り物などなかったからだ。


『まだ車に人参とか白菜とかあるんです。妻の実家が農家なもので……あの、先生の“お目がね”に適うのだけ選んで欲しいんで、車まで来てくれませんか?私が玄関まで運びますから』


更に友紀は目を丸くし、驚きの表情を浮かべた。
大した調理方法を教えた訳でもないのに、ここまで喜ばれ、ここまでのお土産を持参されるとは……ありがたい気持ちと申し訳ない気持ちとで胸が一杯になりながら、断りきれずに男の指差す車へと歩いていった。
薄くヒョウ柄の入った紫色のチュニックワンピースが、暗くなった夕闇に溶け込んでいく……長い栗毛色の髪は軽くカールが当てられ、束ねられる事なく涼風になびく……無警戒な女の残り香を嗅ぎながら、男は後ろから着いていった。


『この中にあるんですよ』


後ろのハッチを開けながら、男はそれとなく辺りを見回した。
広い道路には人影もなく、車の眩しいライトもなかった。
絶好のチャンスだ。


「……この毛布の中ですか?」


1BOXの広大な荷室に、不自然な盛り上がりを隠すように毛布が敷かれていたが、友紀はまだ警戒心を持っていない……友紀の〈終わり〉が始まる……。


「………ヒッ!?」


男はいきなり友紀の口を後ろから塞ぐと、驚いて暴れるのも構わず、そのまま抱き着いたまま荷室へと倒れ込んだ。
すると毛布が捲り上がって二人を包んで車内へと引きずり込み、車の影に隠れていた二人が友紀の足を掴んで車内に飛び込み、そしてハッチが閉められた。


『出せ!早く出せ!!』

『へへ…へ……やったな!!』


ほんの一瞬のうちに、友紀は1BOXカーに飲み込まれ、男と一緒に包まれたまま運ばれていく。
視界などあろうはずもなく、何処に向かっているのかすら分からない。
しっかりとした状況も理解出来ぬまま、それでも身に降り懸かった危機に眼球を剥いて、恐怖に震えて藻掻くだけだ。


「ぶぐぐぐッ!!!」


脇腹に何かが噛み付き、全身の神経が痛みを伴って弾け、そして脱力していった。
手も足も、鉛でも詰め込まれたように重く感じられ、ダラリと弛緩してしまった……初めての感覚に、恐怖は爆発的に倍増し、冷や汗が全身の毛穴から噴き出してきた。



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