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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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双星の魔導師-2

「やあ、フィシュラ。久しぶりだね」

 フィシュラはゼビアの王城に仕える宮廷魔導師で、『水の魔導師』と呼ばれる程に水を巧みに操る。
 しかも、水がある所ならどこへでも移動可能なので中々便利だ。

「お邪魔するわね。リン、ベルリア」

「君がここに来るなんて珍しいじゃないか。何かあったのかい?」

 ベルリアはフィシュラに椅子をすすめてお茶を煎れようと準備をする。

「お茶はいいわ。すぐに来てもらいたい所があるの。いいかしら?」

 フィシュラはそう言うと手を差し出してきた。
 どうやら急ぎらしいので、差し出されたフィシュラの手を取る。
 一瞬、ユラユラと視界が揺れて、気がつくと違う場所に移動していた。

「……血臭?」

 到着した途端に鼻を刺激した臭いにベルリアは顔をしかめた。
 場所はどこかの町らしいが、町の中心と思われる広場におびただしい量の血痕がある。
 そして、その血痕の中に10歳ぐらいの少年が立っていた。
 黒い髪の少年は全身から金色の陽炎を放ちながら、ある一点を見つめていた。
 視線の先には、少年と似た面影のある女性。
 母親なのだろうか。
 その女性はすでに息絶えているようでピクリとも動かない。

「昨夜、野盗に襲われたらしいんだけどね、連絡を受けて来てみたらコレよ」

 町に夜襲をかけた野盗は、女子供にも容赦なく襲いかかった。
 食べ物や財産を奪い、住民を広場に集め、1人残らず殺そうとした。
 その時、隣町に使いに出ていた少年が帰ってきたのだ。
 町の惨状を目にした途端、少年の体から金色の陽炎が吹き出し、その陽炎は野盗達の体を切り刻み、焼き尽くした。

 町の生き残りに話を聞いたベルリアは背筋が寒くなる。
 およそ30人は居たであろう野盗をたった10歳の子供が血痕だけを残して全滅させたのだ。
 凄まじい魔力だ。
 これは野放しにするのは危険だ、と警備隊から宮廷魔導師に連絡がきたのだが、少年に近づこうとすると陽炎にはじき出されてしまう。
 フィシュラにはお手上げ状態なので、ベルリアにも協力してもらおう、と呼んだらしい。
 だが、はっきり言ってベルリアにもどうしようもない。
 しょうがないので少年の表情に変化が表れるのを待つ事にした。



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