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「Wing」
【ファンタジー その他小説】

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「Wing」-28

「城内に火を放て。出てくる者は誰であろうと殺せ。ん?」
城へと続く石橋の上に誰かが立っていた。

「……命が惜しければ……退け……」
少年が一人、橋のど真ん中で立ちはだかっている。その少年は……
「お前は……」
戦の度に、こちらに甚大な被害をもたらしてくれる相手であった。しかし……
「たった一人で何が出来る?」
いつもは周りに他の兵士もいたので、こいつばかりに戦力を裂けなかったがが今回は一人。今までの怨みも簡単に晴らせるというわけだ。

「……死にたいのか……?」
「ははははは!!それはお前のほうだ!!」
そう言って、十数人で一度に襲い掛かる。



全ての兵士の全ての攻撃が自分を狙って襲ってくる。槍を中心とした中距離武器が主になっているのでうかつに手が出せず、焦って飛び出してくる馬鹿な奴だけしか倒せない。
まずいな……このままだと…………

レオンの動きが急に鈍くなる。それを見た敵兵は、ここぞとばかりに攻め立てる。と、レオンの頬を掠めた一太刀。かわしきれなかったのか、うっすらと赤いものが滲み出ている。続けて脇腹にも。今度ははっきりと出血が見て取れた。片手で出血箇所を押さえながら、うずくまる。


もう限界か…………
視界が少しずつ黒く染まっていく。薄れていく意識の中で、敵が武器を振り降ろしてくる音と、噴き出る飛沫の音が聞こえた…………

 朱に染まった血生臭い大地

一面に広がる泣き出しそうな大空

遥か果ての大地で鳴り響く雷の独唱

そして戦場に聞こえる断末魔の合唱


劣勢。悲しいとまで感じる程の圧倒的物量差。次々と消えて行く仲間の命。それらを悲観する間も与えてくれずに攻め込んで来る敵兵……

だが、その敵兵の歩みがふと止まった。彼等の視線の先には、巨大な鉄の塊を引きずりながらゆっくりと歩いて来る少年が一人。

何故その方向から? 少年の姿を見た兵士が最初に思った疑問。何故なら、城へ攻め入ろうとしていた敵兵士達が通った道だからだ。まだ城には何の変化もない。
敵兵に囲まれている状況で冷静な兵士が一人。彼はその少年を見たことがあった。一つの部隊をたった一人で壊滅させた人物。これまでの戦で幾度も戦況を覆してきた少年。冷静になった思考が彼の頭の中に一つの答えを導き出した。
この少年は敵兵を倒しながら此処へ来たのだ、と……
そして戦慄した。あまりの血の量の多さに。体中至る所に傷を負っているが、それらの傷口からの出血とは思えないほどに、全身紅く染まっている。おそらくは殆どが返り血。だが、どれだけの数の人を切り裂いたのか……身に纏っている異様な雰囲気も相まって、味方の筈なのにそこからは恐怖しか感じられなかった。少年がまた一歩、足を前に出す。それを見て身構える敵兵士達。数秒後、彼は有り得ないものを見た。あってはいけないモノを見た……


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