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匂いフェチ
【女性向け 官能小説】

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匂いフェチ-1

レディコミを読みながらオナっていても、抜く時は必ずページを閉じ、妄想だ。
“抜く”って表現は男が射精をする時の専売特許のような表現だが、女のソレも確かに“抜く”ってのが一番近いよねって、そう言ったのは内田春菊だったか。吉本ばななじゃないだろう。
どちらにしても私はその意見に賛成だ。あれは確実に"抜く"んだ。それがピッタリあてはまる。

私の場合、1日1回は必ずその“抜き”をやるから、たまにはいつもお世話になってるあのぶっといレディコミの、女が複数の男に縛られて責められてどんどんクセになっていくっていう水戸黄門みたいなベタな設定、でも私も大好きなそのパターンで頭をボーッとさせながら抜いてやってもよさそうだと思うんだけど、しかし私にはどうしてもそれが単に紙に書かれた線と点との集まりに過ぎないというところで引っかかって絡まって、とても“抜く”気になんてなれない。

たくましすぎるほどたくましい私の妄想の中で、一番登板回数が多いのは、ズバリ義理の伯父さん、つまり母の妹の旦那な訳だけど、彼は小学校高学年の時、つまり私が自慰行為を始めた当初からの大切な“オカズ”で、それはまさに年がら年中のヘビーローテーションだ。
この“オカズ”って表現も、兄が高校の時に友だちとくっちゃべってるのを聞いた時に覚えた言葉で、今でも頭の中では“オカズオカズ”と思っているけど、じゃあ主食はなんだよと考えてみたら、こっちは“抜き”と違って全然ピンと来ない。まー別にそんなのはどーでも良くって、つまり私はその義理の伯父のことが好きで好きで大好きで、でもそれは淡い恋愛感情とかそんな美しいものではなく、ただただ単純、どストレートな性欲だ。抱かれたい男ナンバー1ってこと。
彼に抱かれるなら、私はゴーカンされてもリョージュクされても素っ裸のままオモテに放り出されてもパンティーの前へローターをガムテープで貼りつけたままコンビニ行って「ビッグフランク1本ください」と言わされても一向に構わないと思っている。もちろん私は力の限り嫌よ止めてを連呼し抗うが、それはまあ場を盛り上げるためのただのフェイクな訳だから、そんなトコで草食系を出さず最後までオラオラしてくんないかなー、ってでも実際はそんなタイプじゃないよなーきっと、って、まーそこんトコが私の妄想のつけいるスキ、というヤツな訳だ。

風呂から上がって髪を拭きながらハミガキをくわえて夕刊はどこだと廊下をさまよっていると、練習から帰った兄が「ビールビール」と言って、いつものように玄関に靴を脱ぎ散らかして洗面所へ向かった。それを片すのはいつも母の役目。兄は洗面所でバサバサと手を洗い、イソジンでうがいをする、そんなトコばっか几帳面だ。
「母さん、あのバッグどこあったけ?オレがほら、去年会社の一泊研修会に行った時に持って行ったあの小さなバッグ」
兄が忙しなくキッチンに入って来ると、すぐさま冷蔵庫へ一直線、ビールを取り出してプルトップを抜き、「プハー!うめー!」とか言う。
「納戸に仕舞ってあるわよ。あなたいつもその辺に散らかしてあるから母さん片付けたんじゃない」
いい年をして余計なことで母の手を煩わせるなら、独り暮らしをせよ兄よ。

私の3つ上で今年25になる兄には、長く付き合っている交際相手がいて、本人は結婚する結婚すると言ってる割になかなか王手が打てないようで、でかいズータイしていつまでもそうして家に居座っている。
就職難の最中大学を出て、運良く中堅の貿易会社に就職できたのはいいが、当の本人は社会人ラグビーに夢中で仕事は二の次な感じが辞せない。
彼がいつ精通を迎えて、これまで何人彼女がいたのか、キスは誰としてて誰としなかったのか、初体験が幾つで相手が誰だったかまでちゃーんと知ってる私は、彼のことを兄というよりは弟のように思っている節がある。だって女はやっぱり精神的に大人なのだ。


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