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一歩前へ踏み出せば...
【青春 恋愛小説】

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一歩前へ踏み出せば...-1

「待て!!レイ!!」
そんな声が聞こえた途端、犬が飛び出して来た。
「キャッ!」
いきなり目の前に犬が飛び出して来た事に驚いた私はバランスを崩して自転車共倒れてしまった。
「すみません!大丈夫ですか?」
少年が駆け寄って来て、私を助け起こしてくれた。
「あっ...ありがとうございます。」
「いえ....大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」
そう声をかけてくれた少年の方を見ると、
「北原さん?」
驚いたような声がした。
「えっ?」
少年をよく見ると同じクラスの木下君だった。
「ゴメンね!!北原さん!怪我は無かった?」
「えっ....うん....」
自転車を起こそうとした時犬がじゃれついてきた。
「レイ!!止めなさい!」
彼は犬を連れて行って鎖に繋いだ。
「ゴメンね!!本当に怪我は無かった?」
彼は私の所に駆け寄って来て心配そうに聞いてきた。
「はい...大丈夫です...」
そう答えたが、
「大丈夫って....血が出ているじゃないか!」
見てみると肘と膝から血が出ていた。
「擦り傷程度ですから大丈夫です。」
「一応薬をつけるから家の中に入って!」
彼は私の手を引いて連れて行こうとした。
「本当に大丈夫ですから....」
私が手を振り解こうとすると、彼は驚いた顔をした。
「そうか!そんなに親しくないのに家の中には入れないよね!」
「ゴメンナサイ....」
私が謝ると、
「いいよ!気にしないで!薬箱を取って来るから待ってて!」
「本当に大丈夫ですから!木下君こそ気にしないで下さい。」
帰ろうとすると右足の痛みで転びそうになった。彼はあわてて私の体を支えてくれた。
「本当に大丈夫?」
心配そうに聞く彼に
「はい...大丈夫です...」
言葉と反対に足を引きずる私を見て、
「送って行くよ!...いや....送らせて下さい!」
彼は私の自転車の荷台に乗るように促した。


「ありがとうございます。」
私の家の前で自転車を降りて彼にお礼を言った。
「ううん....俺のほうこそゴメンね!」
「帰りはどうするんですか?」
「そんなに遠くないから歩いて帰るよ!それじゃまた明日!」
「はい!また明日!」
彼は手を振って帰ろうとした。
「あっそうだ!携帯持ってる?」
「はい」
「番号とアドレスを交換してくれないかな...」
私は携帯を取り出して、番号とアドレスを交換した。
「何かあったら遠慮しないで連絡して!」
彼はそう言って帰って行った。彼(木下和哉・きのしたかずや)は男女の区別無く誰とも気軽に話が出来て、彼の周りにはいつも友達が集まっている。それに比べて私(北原美咲・きたはらみさき)は性格が地味で教室でも目立たない存在で、彼とは正反対であった。



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