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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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ラインハット編 その四 ラインハットへの帰還-9

「ほう、噂のラインハルト操鞭術ですか? ですが、この鉄球の生み出す力にはかないますまい?」
「搦め手は乗算、手数は多いほうがいい」
 凝集された力と手数、搦め手。急に始まった綱引き、力比べに興じる二人に視線が集まる。
「ふん、何が魔法部隊だ。その腕力で火球でも投げるというのか?」
 徐々に引き寄せられるアルベルト。力勝負ではペドロに軍配が上がったらしく、さらに騒ぎを聞きつけた魔法部隊が駆けつける。
 刻一刻と不利になる状況だが、アルベルトはそれほど悔しそうになく、一方のペドロは力みとは別に歯軋りをしていた。
 ころあいを見計らい民衆に紛れたサクラが、ナイフをペドロの足元に投げる。彼が怯んだ隙にアルベルトは鞭の途中を切る。反動でずっこけるペドロ。アルベルトはその隙に聴衆へと走り出し、しゃがむサクラの肩に駆け上がり、別の哀れな聴衆の肩を足場に人ごみを飛び越える。
「く、逃げるか!」
「この場の勝利を貴様の手向けにくれてやる。駄賃は本国にてゆっくり聞くがいい!」
 高らかと笑うアルベルトに、ペドロはこぶしを床に叩きつける。
「グランバニアの名軍師、サンチョ・ペドロともあろう者がこれでは噴飯ものですな……。復讐に目が眩みすぎました……、申し訳ありません。旦那様……」
 バニアティに隠れたハーブの香り……。二年前のあの日から忌避してきた香りは、緑の大国原産のもの。旦那様、いや主君の無念と汚名を晴らせず、サンチョはその憤りにしばし肩を震わせた。

++――++

 魔法部隊の帰国の知らせを受けたアルベルトは、進軍を開始する。
 急場しのぎの木造砦など近づきさえすれば、火矢で火の砦。これまでは広域魔法にて阻まれてきたが、おごりと猜疑心に昂ぶるブランカ兵がそれを排除した。
 防衛の要を失ったブランカ国がまともに戦えるはずもなく、また広域魔法の恩恵を受けるべく立地条件仇となり、それに拍車を掛けた。
 砦を越えてレイクバニア――かつてレクイナバとされた商業都市へと騎馬隊が駆ける。
 それが目視できるようになった頃、庁舎に集まったブランカ兵が篭城の構えを見せる。
 グランバニア国魔法部隊が帰国した時点で負けを覚悟した仕官の一人が、秘密裏に民衆を先導していたおかげか、市街地にはほとんど人がいない。
 本来なら民衆の混乱に乗じての乱戦を想定していたアルベルトは、ここで一時膠着に陥った。
 グランバニアの魔法部隊ほどではないが、予測された進路には魔法部隊が配置されており、無人の街へ被害を顧みずに広域魔法を放つ。
 とはいえ、街の一区画ずつを牛の歩みのように確保し、徐々に追い詰める形となる、何れは勝利が約束された戦場である。
「ふむ、敵にも切れ者が残っていたか」
 市街地の一角、制圧したカフェに陣取るアルベルトは予想していなかった抵抗に舌を巻く。斥候の話によれば退去する民衆に混じってレクイナバの将も本国に逃げ出したと聞いていた。
「だが……、無人の街を守る理由などあるのか? 奴らの目的は……」
 アルベルトが敵の真意を測りかねていると、伝令兵が息を切らしてやってくる。
「伝令、ブランカ国、レイクナバ防衛隊、降伏されたし。指揮官を名乗る者が交渉を求めております!」
「なん……だと?」
 篭城戦と兵糧攻め。長期戦を予想していたアルベルトは肩透かしを食らった。


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