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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#03  研修旅行――二日目-3

「……。きみはいま、失礼なこと考えていないか?」



すると、私の声に反応して振り向いた能面顔が呆れの表情を浮かべて言ってきた。

ジトリと睨まれる。

私はローテーブルを挟んで岐島と向かい合うように座ると、鼻を鳴らした。



「あのな、岐島?“失礼”って漢字、書けるか?」

「それは、高校生にする質問じゃあないね」

「うるせっ。……つ、つまりはだ。礼を失うから失礼――だろ?」

「そうだ、という答えをきみは期待しているんだろうね」

「回りくどいヤツだな、おまえって。だからな!つまるところ、私は礼を欠いていない!なにせ、相手は岐島だもんな!だから、失礼じゃないんだ!オーケーっ?」

「……その論理に説得力を感じろと言うのは暴力以外のなにものでもないと俺は思うんだが。オーケー?」

「へっ、言ってやがれってんだ。ところで、岐島はなにをしてんだ?」



改めて、目前の男を観察してみる。

夏用の制服の中でも最も薄着である、半袖のワイシャツに制服の下という格好だ。スカートに履きかえれば、私と同じ格好である。

んで、眼前のローテーブル――そのガラス製の表面には缶コーヒー(赤い朝専用)、ソファーに寄りかかるヤツの太股の脇には新聞がふたつに折られて置いてあった。図書館とかにある貸し出し用のクリップに挟まれたやつだ。

そして、岐島は鼻で嘆息しやがった。



「逆に聞きたいんだが……俺はなにをしているように、きみには見えるんだ?」

「ぐぅ……。ホント、いい性格だよな、おまえ。わかてっんよ。新聞を読んでんだろ?」

「正解は、連帯責任などという理不尽なモノのせいで呼び出されたんだよ。現在、Y君以下五名は比留間先生にお叱りを受けているんだ――四度目のね」

「逆にソレを当てれると思ったのかっ?マジ、いい性格だな!」




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