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フェイスマン
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フェイスマン-2

「・・・ん?」


真っ白く、くっきり影がついた立体的な雲の中に、何やら変なものを見付けた。
なんだか、細長い。雲にしては小さいし、鳥にしては大きい気がする。あれは何だろう。
すると、その得体の知れない物体がこちらに向かって落ちてきた。

「そこの君!いかん、いかんよ!」


それが人だ、と分かった瞬間、その人間は寝転がった私のすぐ上で止まった。
そしてゆっくりと私の傍に着地して・・・

「君のその顔、生気が無い。覇気も無い。やる気も微塵も感じない!」
「・・・・・・・・・」

この人、空を飛んでたの?
顔まで覆った白い全身タイツに赤いマントを羽織って、でかいゴーグルを着けている。

「間違いない、君は¨ニートデス¨に取り憑かれている!早く退治しなければ、廃人となってしまう!」
「・・・あんた、誰よ?」

するとその男は、こほんと咳払いをした。

「失礼、僕は人間に憑依するニートデスを倒すために闘う・・・フェイスマンだ!」
「は?」
「そう、フェイスマン!」

うるさい名乗りの後に親指を立てて前に突きだしてくる。
・・・夢でも見てんのかな。いつ寝たのか分かんないけど。

「人間は誰しもいい感情ばかり持ってるわけじゃない。つらい、悲しい、苦しい、そんなネガティブな感情もある」

ああ、分かんない。よく喋る夢ね、気持ちが悪くて仕方ない。
顔がよく見えないのが余計に薄気味悪さを醸し出していた。

「ニートデスはね、そこに付け込んで憑依し、力を蓄えて成長する。まさしく人間の天敵、恐るべき存在なのさ!」
「・・・言ってる意味が分かんない。気持ち悪いんだけど」
「大丈夫、僕が必ず君を助ける。幸いまだそんなに成長していない様だし・・・」
「ちょ、じろじろ見ないで。先生呼ぶよ!」
「先日は失敗してしまったが今日こそ逃がしはしないぞ、ニートデス!その子から出て来い!」

すると、何やら変なメロディが聞こえてきた。
携帯かと思ったけど私のは何の反応もない。じゃあ誰が?

「くっ、こんな時に!失礼、急用だ。少々時間をくれないか」

目の前にいる変質者が胸ポケットから携帯を取り出した。白いから分からなかったけど、ポケットあったんだ・・・

「おのれ、出たなニートデスめ!この僕が退治してやるぞ!」

その変質者は携帯の画面を見ながらいきなりジャンプしたかと思うと、そのまま空を飛んでいってしまった。
・・・夢、だよね。この訳のわからなさ、辻褄のあわなさは現実じゃないに決まってる。

・・・寝よう。世の中に寝るより楽は無い、なんて誰かが言ってたらしい。



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