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そんな事で嫌いなったりしない....
【青春 恋愛小説】

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そんな事で嫌いなったりしない....-1

「お疲れ様でした。」
バイト先のマスターに挨拶して、俺は彼女(南津野由希・ナツノユキ)と家路についた。彼女の家は俺の家への通り道にあるので、夜のバイトが一緒になる時は、彼女の家まで二人で帰っている。俺は彼女に初めて会った時から片思いをしている。一目惚れってやつだ。今年大学に入学して、「レストランヒイラギ」でバイトをする事になり、そこで知り合ったのが彼女だった。彼女は俺と同じ年齢だが高校生の時からバイトしているので俺の先輩になる。初めての頃は彼女に仕事を教えてもらっていた。それがきっかけで話すようになって、夜は一緒に帰るようになった。彼女への告白を考えない訳では無いのだが出来なかった。彼女には恋人がいると聞かされたからである。俺と彼女は同じ大学に通っている。授業が終わり、バイトのシフトを聞こうとした時、彼女は俺から逃げるように離れて行った。唖然としている俺に彼女と同じ高校だった谷村が、
「残念だったな!鷹矢!彼女には三年くらい付き合っている恋人がいるんだよ。あきらめな!」
そう言って俺の肩を叩いた。その事があって、彼女と仲良くなった今、この関係を壊してしまうのが怖くて告白出来ないでいるのである。


彼女の家が見えて来た時
「ネェ鷹矢君!明日何か予定ある?」
バイトは休みの日だし、授業も休講になったので、
「何にも無いんで、多分家で寝てるんじゃないかな?」
「それなら....遊園地に行かない?優待券を二枚貰ったから.....」
俺が躊躇っていると
「私とじゃ...嫌?」
俺の顔を下から見上げて来た。
「嫌じゃ無いけど....」
「何?」
「俺と一緒でいいの?」
「えっ?どうして?」
「だって....恋人がいるんでしょ!谷村が言ってたよ!」
「えっ.....」
彼女は無言になった。俺は何かまずい事を言ったのかと不安になった時
「それは嘘なの.....」
「えっ?それってどういう事?」
「高校に入ったばかりの頃にしつこく告白して来る人がいて困っていた時、友達が私には違う高校に恋人がいるからあきらめな!って言ってくれて....それで問題は解決したんだけど、その話しが一人歩きして....それで....そう言う事になっちゃったの....」
「それなら...もちろんOKだよ!」
「良かった....」
彼女はホッとしたような顔をした。俺は心の中でガッツポーズをした。
「じゃあ....十時に迎えに来るね!!」
「えっ!」
一瞬彼女は驚いたような顔をしたが、すぐに笑顔で
「うん!待っているね!!」
そう言ってくれた。
「じゃあ明日!」
「うん!明日ね!!」
俺達は約束を交わして別れた。
(明日彼女に告白しよう)
俺は心で誓った。彼女は人見知りをするみたいで、初めの頃はどこかに壁のようなものを感じたが、1ヶ月くらい前から親友のように話せるようになった。しかし彼女が親しく話すのは女の子ばかりなので、俺は異性として見られていないのでは....なんて考えてしまうので、早めに告白してしまおうと思った。彼女との今の関係を壊したくないそんな思いもあったが....


「次はどれにする?」
「そうね....あそこにしましょう」
彼女が指差したのはホラーハウスだった。
「えっ......」
絶句している俺を見て、
「どうかしたの?」
彼女が心配そうに聞いてきた。俺はお化け屋敷の類が大の苦手だった。一度大失態を演じてしまってからは絶対に二度と入らないと心に決めていた。
「あそこは....ちょっと....」
今日告白しようと決めていた俺は彼女の前で醜態を晒す訳にはいかないので入りたくなかった。
「ネェどうしてもダメ?」
俺の顔を見上げて、甘えたような声で話しかけられると断りづらくなってきた。今日の彼女はいつもと雰囲気が違っていた。ジーンズ姿を見慣れていた俺には、今日の彼女のワンピース姿が眩しくて堪らなかった。気のせいかいつもより女の子を意識させる話し方をしているようにも感じる。そんな彼女に頼まれて断れる訳が無かった。
「いいけど....笑ったりしないでね....」
一瞬不思議そうな顔をしたが、
「ありがとう!早く行こう!」
彼女は両手で俺の手を握りホラーハウスの方へ引っ張って行った。



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