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みだ★ゆめ
【ファンタジー 官能小説】

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1・サイテーなハジマリ-3

『分かってくれた、えっと・・・板垣、隆一』


女の子は俺の額を覗き込む様に見つめて、本名を言い当てた。
ちょっと待て、こっちから名乗ったか?それとも顔にでも書いてあるのか。


『サキュバスは相手のフルネームが分かるのさ。他にも面白い能力は結構あるけど、追々分かると思う』
「お、お前ら一体何者だ?サキュバスだとか意味分からんぞ!」
『いま説明した通りさ。安心して、魔界から来たけどおれもリリスも、人間に危害を加えたりはしないから』

果たして自分からそう言う相手を、簡単に信用してしまっていいものだろうか。
俺が戸惑いを隠せないのをよそに女の子が近付いてくる。


『私の目を見て』
「な、なんで」
『いいから、見て。大丈夫、痛くないと、思う』


いきなり相手の目を見つめろ、なんて言われてもな・・・

『ねえリリス、ベッドの上でやったら?急に仕掛けてこの人が怪我したらどうすんの』
『お願い、私を見て!』

カラスの言葉に答えず女の子、リリスは自分から目線を合わせてきた。


「うっ?!な、なん・・・う、ああ!」


丸い瞳が紫色に光った瞬間、俺の身体の中に熱が弾けて、拡がっていった。
それはまるで神経を縛る糸のように、一瞬で体の隅々まで縛り上げ、指先まで痺れさせていく。

「な、なんだこれは?!おい、俺に何をした!」
『金縛り。慣れてるサキュバスは使わないんだけど、まだリリスは修行中だから許してね』

カラスはワイシャツの背中を銜えて身体を引き摺っていく。
運ばれている間、一切動かす事が出来なかった。なんとか頭は動かせたが、そこから下は石になった様にびくともしない。


『リリス、使うならベッドでって言ってるだろ。運ぶの大変なんだぞ』
『先に固めた方が早いと思ったんだもん。無理だよ、うまくベッドに誘うなんて』
『金縛りに頼ってたら一人前になれないぞ。それに、無理矢理やるのは相手だって警戒する』
『仕方ないじゃん!まだ下手なんだし、どうせドジだもん!』
『開き直るなよ、このドジ』

仰向けに寝かされながら2人、いや1人と一匹の会話を聞く。
こいつらには事情があるんだろうが、人を身動きさせなくして口喧嘩するのは勘弁願いたい。

「お前ら、やるならこの身体を元に戻してからやってくれ」
『あ、ごめん。これから修行なのについ』

カラスは謝ったが戻そうとする素振りは無かった。


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