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留守番の夜
【兄妹相姦 官能小説】

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初夏のすれ違い / カラダ編-10

…―メール、かな?…サク、怒った、か…な…

意識の上辺の方でうっすら気にしただけで、亜紀子は眠りに墜ちてしまった。


朝。
…いや、かなり昼に近い午前。
尿意で目が覚めて、ふらふらトイレに行ってふらふら戻ってくると、部屋ではケータイだけが存在感を示していた。
点滅がそのままサクの怒りを伝えてくるようで、一気に意識が覚醒する。
《着信あり:サク 1件
受信メール:2件》
着信は、昨晩の出なかったもの。
そしてメールは、夜中と今朝のものだった。

23:27《無題
:もう寝てんの?心配するから起きたら連絡くれ》
7:45《おはよ
:今日はテニス部は休み?俺は部活》

…―あ、あれっ?

2通ともに目を通した亜紀子は面くらった。

…怒ってない…?
むしろ心配してくれてるし、なんか内容が…ホントのカレシっぽい…

GW一発目の連絡は、ヤらせろと言ってくると思っていたので意外だった。
とは言え、昨晩の電話の用事に思い当たるものはない。
とりあえず逆らわず返信することにした。
《おはよー
:ごめん、昨日はもう寝てました。女子テニス部は明日が練習日。部活おつかれさま》
最後の"おつかれさま"は余計だったかなと思いつつ、心配かけたお詫びのつもりで付け足した。

テニス部は弱小でコートも少ないため、GW中は男女が交代で練習日を設定している。
反対にサクのバスケ部は活発で、ほぼ毎日部活だろうから、明日は学校で顔を合わせる可能性が高い。
とは言え約束でもしない限り長い会話などの機会は無いので、そこさえ回避すれば明日は安心だった。
問題は休みの日で、お互い同じ日に部活が無いと分かれば、サクに誘われるのは間違い無いだろうと思う。


…―正午。
《RE:おはよー
:さっき起きたのか?寝すぎじゃね?死んだかと思った!》
昼休みになってすぐ、まだ弁当も食べていないだろうという時間に、サクは返信してきた。
シンプルだけどからかうような調子で、でも心配していたことまでもが伝わってくる文面だった。

そんなメールに、なんて返せば良いのか分からない。
とりあえず、あえて無題で《生きてます》とだけ送った。
それに返事は無く、バスケの話でもしながら皆で昼ごはん中かな、と考える。
亜紀子の方は、ゆっくりブランチを終わらせて、宿題を片付けていた。

次にケータイが震えたのは、薄暮れの頃だった。
窓から春霞にぼやけたオレンジの月が見える。
《RE:
:部活終わった。今晩電話するから出ろよ》
《RE:RE:
:いいけど、あたしは明日早いから短めにして》
我ながら可愛くないメールだと思うが、媚びを売るつもりはない相手だから良いのだ。
ちなみに、亜紀子は誰に対しても飾り気の無いメールだが、今更カラフルにするのが気恥ずかしくて絵文字は使えないでいる。

昨晩の反省をいかして、今日は早めに風呂に入った。
自室で明日の部活の用意をしていると、なぜだか胸が高鳴ってくる。

…―やだ、あたし緊張してる?

サクと電話で話すのはもちろんのこと、男子と電話、が初めてなのだ。
そうなるともう、ケータイが気になってしょうがなく、そして本当に鳴り出した時には飛びあがってしまった。


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