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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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奴隷編 奉仕者-9

**――**

 ヘンリーの看病から二週間目の昼。ほぼ不眠不休で回復魔法を唱えるリョカに疲労は目に見えるものだった。
 ヘンリーは相変わらず吐血を繰り返し、少しの油断でも大事に至る不安があった。
「くそ、どうしてだ。ヘンリー。がんばってくれ。僕もがんばるから。だから、死なないでくれ。僕を、僕を一人にしないでくれ。君はラインハットの大地を踏むんだろ? 民を、国を幸せにするんだろ? こんなところで寝てる場合じゃないんだ!」
 上手く行かない看病に愚痴を零し始めるリョカ。度重なる精神集中と魔力の過剰な使用に視界がかすみ、何度も眠気に誘われる。そのつどリョカは唇を噛み、大腿に爪を立て抗った。
「……俺は、きっと、必ず、戻る……」
 ヘンリーの口からうわごとが漏れる。リョカは目を見開き、その腕を掴む。
「そうだよ。だから、がんばってくれよ! 君は、君は王者になるんだろ?」
「王者? その奉仕者が?」
 不意に声が聞こえた。リョカは振り向くが、誰もいなかった。物見夕山の監視だろうかと考えたが、声は女であり、聞き覚えが無かった。
 だが、気配がする。
「誰だ? 誰かいるのかい?」
 リョカの声に誰も答えない。だが、リョカは勘違いと片付けず、周囲を伺いながら部屋のドアを閉める。
「前にもこんなことがあった。誰かいるね?」
 虚空に話しかけるリョカだが、彼の経験上、姿を隠せる魔法があることを知っている。それは妖精族が知る禁魔法の一種のレムオルだ。
「ベラ・ローサ。僕の知っている妖精の子だ。君は知らないかい?」
「ベラ・ローサ? 知らない名前だ。だけどローサはエメラルドエルフに多い姓ね……」
 再び虚空から聞こえた声に、リョカはひれ伏す。
「やっぱり妖精なの? ねえ、お願いがあるんだ。どうか、ヘンリーを助けてくれないか?」
「アンチ・レムオル……」
 光輝く精霊が現れ、霧散すると同時に淡いピンクの髪と赤い瞳の女の子が現れた。
 冷静そうな細い目と流麗な眉に睫、整った鼻梁と控えめな唇は、ベラのような陽気な雰囲気がしない。カールさせた髪で耳を隠しているが、精霊のイタズラで揺れたとき、尖った耳が見えた。
「貴方は妖精と会ったことがあるのね。ふうん……」
「君みたいな妖精は初めて見るけど、前に一緒に冒険をしたことがある」
「そう。まあいいわ。それより、その倒れている人……、王者としての資質があるの?」
「え? えと、ヘンリーはラインハット国の王子だ。王者というか王子だし、国に戻ることがあればそうなんじゃないのかな?」
「そうじゃないわ。これを持たせて……」
 赤い目のエルフはリョカに何かの欠片のようなペンダントを渡す。リョカがそれを受け取ると、それは不思議と温かさがあり、白く光った。
「ふうん。私は貴方でもいいんだけどね」
 リョカは戸惑いながら、彼女の協力を得るためにヘンリーにそれを握らせる。すると、温かくなり、さらに緑色に光る。
「へえ……まさかね……」
 その様子に赤いエルフは驚いたように目を見開く。そしてヘンリーに近寄り、手を翳す。
「浄化の光よ、今一度彼に生の喜びを……、ベホイミ……」
 リョカのうろ覚えの印とは異なった、ついでに詠唱の形式も違う中級回復魔法はヘンリーの青みの残る腹部、胸元から黒い霧を吸いだしていく。
「え、え、え?」
 まるで知らない魔法に見え、戸惑うリョカ。だが赤い目のエルフは気にする様子もなく、別の印を組む。
「イタズラなる風の精霊よ、我は汝に求める、かの者達に慌しい朝の目覚めの洗礼を……ザメハ……」
 今度はヘンリーの額から青白い霧が立ち、すっと消える。
「ん? 俺は……」
 がばっと立ち上がるヘンリー。長いこと同じ姿勢でいたせいか肘を抱えるが、腹部や胸元を押える気配もなく、血反吐に咽ぶ様子もない。


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