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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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奴隷編 奉仕者-10

「ヘンリー! 良かった!」
「うむ。看病ご苦労であった……。お前は?」
 喜びのあまり涙を浮かべるリョカを労いつつ、見知らぬ赤い目の女に眉を顰めるヘンリー。
「ご挨拶ね。貴方を助けてあげたって言うのに……」
「そうなんだ。この人がヘンリーを助けてくれたんだ。えっと……貴女は……」
「私はエマ、エマ・ミュール」
「エマか……。ふむ、初めて見るな、エルフというものは……」
「あら、よくわかったわね」
 さほど意外というほどではないが、驚いてみせるエマ。
「ルビーエルフ。伝承の中の架空の存在だと思っていた」
「へえ、博識なのね。なら、私がどういうつもりかわかるかしら?」
「だから驚いている。ルビーエルフが人間を助けるなど、その存在を知る者ならありえないからな」
「ちょっとヘンリー、どうしたのさ? 彼女は君のことを……」
 不穏な空気にリョカは慌ててしまう。険悪というわけではないが、ヘンリーが彼女を警戒している様はみてとれる。
「何が目的だ? 貴様らが見返りなしに人間を助けるはずなど無いだろう?」
「話が早いのね……。なら言うわ。王者となりなさい」
 まったく話の見えないリョカは、二人を見返して口を噤む。
「ふん、そんなこと、頼まれるまでもない。俺はこんなところで死ぬつもりはない。ラインハット国の王族なのだからな」
 肩を鳴らしながら立ち上がるヘンリー。エマは腕を組みながら彼に冷ややか視線を送る。
「言うわね。でもどうやってここを出るつもりなのかしら? 四方は海に囲まれて、ここを降りたところで凶悪な魔物がひしめいているっていうのに」
「俺が無駄にここで時間を過ごしていたと思うか? リョカよ、俺は何日寝ていた?」
「え? えと、多分二週間目かな?」
「そうか、なんとか間に合いそうだな。よし、明日だ。明日にはここを出ようではないか」
「な、なんだって?」
 先ほどまで寝ていたヘンリーがいきなり脱走を提案することにリョカは驚きを隠せない。まさかまだ熱に浮かされて現実と夢の区別ができないのではないかと疑うほどだった。
「そんなことができるのかしら?」
 それはリョカも思う疑問。
「ならお前なら出られるのか?」
 だが、ヘンリーは自信に満ちた様子で言い返す。
「私にはルーラがあるわ」
「ほう、便利だな。お前俺の子分になるか?」
「冗談。貴方が私の僕になるんでしょ? そうしたら今すぐにでもこの地獄から抜け出させてあげるわ」
「なら交渉の余地はないな。俺はお前の僕になるつもりはない」
「ヘンリー、そんな言い方は……」
「ルビーエルフは人間を信用しない。というよりは、我々が恨まれることしかしていないのだ。むしろ俺を助けてくれたことすら奇跡に近い」
「話が早くて助かるわ」
「リョカ、お前とマリアだけなら何とかできる。任せろ」
「そう……。けど僕はここに留まって少しでも……」
「バカなことを言うな。お前もわかっているだろう? ここにいたところで救える命など無い。俺はお前の看病に感謝している。そして、ラインハット国を立て直す力になってほしいと考えている」
「僕は……」
 逡巡するリョカ。ここから脱出したいという気持ちは当然あるが、自分だけ助かってよいのだろうかという後ろめたさがある。
 まだここには自分よりも若い子もいるのだ。もしできるのなら奉仕者を全て脱出させてあげたい。一方でそれができないことも知っている。ならばせめて少しでも彼らの負担を軽減させられたら……。そんな気持ちがあった。
「リョカ、前を見ろ。ここにいてもお前の父の遺言は果たせない。卑怯な言い方だが、お前がここに留まるのはパパス殿の遺言を異にするだけだ」
 そして、父との約束。
 母を捜すことはパパスの遺言であり、願いだった。無念に散ったであろう父のことを言われると、リョカの心の天秤はヘンリーに傾き……、
「頼む、リョカ」
「……わかったよ、ヘンリー……」
 頷くほかになかった。ヘンリーは彼の肩を叩き、無言で頷いた。
「ふん。かってに盛り上がって……。まあいいわ。ヘンリー、貴方の王者としての資質、見させてもらうわ……」
「そうだな。その時はお前も子分にしてやる」
「だから、貴方が僕になるのよ……」


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