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続・幻蝶
【フェチ/マニア 官能小説】

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続・幻蝶(その1)-5

館の外の小さな噴水の先には、ゆったりとした水を湛えた大理石のプールもあった。

…水着なんてもって来なかったわ…と言う私に、ヤスオは、水着なんて要りません…生まれたま
まの姿で泳いでもまわりに覗く人は誰もいない…ボク以外はね…と、笑いながら言った。

そのとき、ヤスオの視線が、一瞬、欲情の光を放ち、私の性器に注がれたような気がした。


ただ…ヤスオは、蝶の話をすることはなかった。一度食事のときに、蝶の話をしたときだった。

…もう、ボクが欲しい蝶はいない…あるひとつの蝶を除いてはね…と、ヤスオは自分自身に語り
かけるように呟いた。それ以来、私は蝶の話題を持ち出すことはなかった。

そして、わたしもまた、あの送られてきた猟奇的なフィギュアの姿の話をすっかり忘れ去ってい
たのだ。そして…ヤスオという男がどういう人物なのか、そのこと自体を忘れていたような気が
する。


それから数日間、わたしはヤスオの館で過ごした。

彼とともに街を散歩し、青い地中海のクルージングを楽しんだ。小さな港町には、いつも潮の
香りが満ちあふれ、路上には珍しい魚介類や色鮮やかな果実や花がぎっしりと並んでいるのを
見るのは楽しいものだった。浅黒い肌をしたたくましい男たちと豊満な胸をした女たちの活気
のある声でにぎわっていた。

でも、この館に戻ると、まるで別世界のようにすべての音が絶え、昼も夜も深い静寂に不思議
なほど包まれていた。


ヴィディアという女は、いつも白色の薄いサリーで身を包んでいた。私の問いに無表情で軽く
頷く以外話をすることはなかった。
年の頃は三十歳くらいだろうか、彫りが深く鼻筋の高い美しい顔、そして肌の艶やかさと洗練
されたスタイルに、私は嫉妬さえおぼえることがあった。

ヤスオはこの女とどういう関係なのだろう…と、ふと脳裏を横切ることもあった。




窓のカーテンから洩れる真昼の強い光が大理石の床に縞模様を描き、少し湿った潮風が頬を撫で
上げたとき、私はソファの上で微睡みから眼を覚ました。いつのまにか、本を読みながら眠って
いたようだ。


そのときだった…隣の部屋から聞こえる物音…。私は廊下にでて、その部屋の中を扉の隙間から
そっと覗く。

そのときだった…。


「…亜沙子さん、そこで立っていないで中に入りなさい…」

いったい、どういうつもりなのか…私は不意にヤスオから声をかけられ、扉のところでたじろい
だ。ふたりは私の方を振り向くこともなくその行為を続けていた。

私は立ちすくんだまま、その行為を茫然と眺めることになったのだ。



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