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七ノ森学園♂♀騒乱記 -咲けよ草花、春爛漫-
【性転換/フタナリ 官能小説】

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-咲けよ草花、春爛漫--5

『あーっ、御形! 何してんの!』
藤村副部長が声を上げ、きっと俺を睨みつけた。
『あんたがさっさと飲まないから』
そ、そんなことを言われましても。顔を引き攣らせる俺に、傍らの鈴代が言った。
『酒くらい飲めるだろ? どうせこんな辺鄙なところに教師なんか来ないんだから、ありがたく頂戴しちまえばいいんだよ』
鈴代は空になったビールの缶を潰してにやりと笑う。
『それとも、そんな度胸ない? 女みたいだもんな、お前』
こいつ、人が気にしていることを――!
これでも中学までは野球をやってたんだ。なのに、身長も体格も貧弱なせいで未だに私服だと女と間違えられることがある。
俺は鈴代を思い切り睨みつけた。
こいつは俺や小日向と同じ一年B組の級友だが、まともに話したのはこれが初めてだ。女子に人気があるということだけは知っていたが、まさかこんな奴だとは。見た目は爽やかで優しげなくせに口は悪い。
こいつに、どうして文藝研に入ったのかと問うと、やはり学園祭で小日向に誘われたからだと言った。

――小日向に?
――ああ、あんな可愛い子に誘われたら断るに断れないだろ? それに、文藝研は美人揃いっていうしな。

下心丸出しじゃねーか!
俺だって小日向に誘われたからってのはあるが、しかも半強制的に入部させられたわけだが、そもそも文芸に興味があるという点では俺の方が真っ当な理由を持っている。
だから、何となくこいつの方がこの文藝研に馴染んでいるというのが少し悔しかった。
俺は辺りを見回した。既に空になったビール缶や酒瓶がいくつも転がっている。それから小日向と歓談している眼鏡の男の先輩――名前を訊き忘れてしまった――に目を向け、その手から焼酎の瓶を奪った。
『おい』
『せ、芹沢君!』
『俺のどこが女だって!? 目ん玉引剥いてよく見てろよ!』
鈴代に向かって中指を立て、俺は緑色の酒瓶を煽った。


3. 女子用トイレへようこそ

――それからの記憶なんて当然なくて。
気付けば誰かの寮室に寝かされていて。起き抜けの頭はがんがんと割れそうに痛い。
むくりと起き上がると、横に小日向が眠っていて、思わずぎょっとした。
『ん……あ、起きた?』
目を擦りながら起き上がる小日向。困ったような戸惑ったような笑みを浮かべている。
ていうか、ていうか、このシチュエーションはあれですか。
俺、祝・脱童貞ですか!?
(いやいやいや。喜んでいる場合じゃないだろ)
もしマジでヤっちゃったとしたら、土下座ものだ。
俺はベッド――ベッドは二段になっていて、俺が寝かされていたのは下段だった――から飛び降りると、床に額をつけた。
『ごめんなさい』
『え……えっ!?』
いきなりの俺の土下座に小日向は戸惑いの声を上げた。俺はゆっくりと顔を上げる。
『いや、だって、その……ここ小日向の寮室だろ? 女子寮って男子禁制の筈だし、俺、もしかして無理矢理――』
『芹沢君』
小日向が俺の言葉を遮る。その顔が妙に険しいのに、俺は冷や汗を流した。
言葉を待っていると、小日向は大きなため息をひとつ、ベッドに腰掛けて言った。
『自分の身体を、よーく見てみてください』
言われて視線を下に向け、愕然とした。

『○&'#$×*@△#!?』
混乱に言葉にならない声を上げ、俺はずしりと胸に聳えるふたつの双丘を掴む。
や、柔らかい――って、違う!
『ここここひなひなななな』
『落ち着いて、落ち着いて芹沢君』
俺はそれからそっとパンツの中を覗く。
『ギャ――――!!』
今度は耳を劈くような雄たけびを喉から迸らせる。
俺の、決して立派ではないそれが、消えていたのだった。



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