投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

百獣の女王
【ファンタジー 恋愛小説】

百獣の女王の最初へ 百獣の女王 19 百獣の女王 21 百獣の女王の最後へ

百獣の女王 U-4

俺は彼女に向き直った。

不思議だった。

彼女の金色の瞳は真っ直ぐ俺に向けられていて、それでいてとても優しそうな微笑みを浮かべている。

もしかしたら、俺が気付かなかっただけで、彼女はずっと俺に微笑みかけていてくれたのかも知れない。

太陽のように輝いていて、ライオンのように凛々しい。

そう思っていた。

けれども、こうして見てみると、彼女は本当に女性的なのだ。



私の名前は、どんな名前だと思いますか?



彼女が俺にそう言っていたことを思い出す。

彼女の名前。

俺は考えた。

長ったらしいものではないと思う。

ましてや気取った感じでもない。

キリッとしてそうな名前は、違う。

綺麗な名前は・・・・・・というかそもそも西洋人の名前なんて咄嗟に出てこない。

俺に考えられるのは、どこにでもありふれたような平凡なものが精々だ。

俺はふと閃いた。

どこにでもありふれた名前。

案外そんな感じなのかもしれない、と思った。

例えば、



「マリア」



考え付いた名前がするりと俺の口から流れた。

「マリア?」

彼女が俺に聞き返した。

「ああ、そう。そんな名前なんじゃないかなって、思った」



マリア



女性らしい名前だと俺は思っている。十中八九間違っている名前の筈だが、俺が今彼女に抱いている印象に似合っているように思えた。

「マリア・・・・・・」

彼女が俺の言った名前をつぶやいた。

「・・・・・・・・・」

やっぱり間違ってるんだろうな。

俺はそう思いつつも、不思議と恥ずかしさや決まりの悪さを感じていなかった。

彼女の反応を待とう、と俺は何も考えないように努めることにした。


百獣の女王の最初へ 百獣の女王 19 百獣の女王 21 百獣の女王の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前