投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

百獣の女王
【ファンタジー 恋愛小説】

百獣の女王の最初へ 百獣の女王 13 百獣の女王 15 百獣の女王の最後へ

百獣の女王 T-14

「キッツイよなぁ」

俺は誤魔化す様に言った。

「さすがに、堪えたよなぁ・・・あれ」

綾菜は何気なく口にしただけなんだろう。

俺は綾菜に何を言われても平然としているから、だから綾菜もついそんな言葉を出してしまったんだろう。

似たようなことは過去に何度かあった。

だから今度もまた、メールなりなんなりで謝ってくれて、それで、いつもの毎日が、いつものように続いていく。

何も・・・・・・変わらないさ。

何も変わらない。



「悲しい人」



俺は息をのんだ。

綺麗な・・・そうとしか表現できない声が聞こえたからだ。

「だから、どうしようもなく美しいのね」

俺は声に促されるように頭を上げた。

「あ」

俺は衝撃を受けた。

俺の目の前に、あまりにも綺麗な人が居たからだ。

晴天の霹靂、とはこういう時に使う言葉なんだろう。真夜中に突然、太陽が現れたような光景。

その人は、とてつもなく綺麗な女性だった。

その人の髪はまるで太陽のように輝いていた。

その人の瞳はまるで太陽のように力強かった。

「ぁ、え・・・・・と」

俺は何がなんだか分からず、壊れたラジオのような酷い声しか出せないでいた。

その人はそんなしどろもどろになった俺をずっと見つめている。

どうしよう。

どうすればいい?



グルルルルルッ



突然、空気を引き裂くような音が鳴り響き、俺の身体を震わせた。

な、なんだ?

俺は驚いて反射的に辺りを見回した。

「あ・・・お前、」

黒猫が居た。

俺から少し離れたところで、いつものようにちょこんと座り込んでいる。


百獣の女王の最初へ 百獣の女王 13 百獣の女王 15 百獣の女王の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前